バイアグラやシアリスなどのED薬が効かない場合、まず疑うべきは「飲み方」と「原因」の2つです。海外の総説ではED薬で十分な効果が得られない人は約30〜35%と報告されています。とくに50代以降では、背景に加齢に伴う血管の障害(血管性ED)が隠れていることが多く、これが「薬が効きにくい」の最大の理由になります。この記事では、飲み方のチェックポイント、血管性EDの見分け方、根本治療という考え方、再生医療(幹細胞・エクソソーム)の現在地までを医師が解説します。
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バイアグラ・シアリスが効かないと感じたら、最初に見直す5つのポイント
▼ ダイレクトアンサー:ED薬(PDE5阻害薬)で十分な効果が得られない人は約30〜35%と報告されています。ただしその一部は、空腹での服用・服用タイミング・試行回数・用量・性的刺激の有無という5つの服用条件の見直しだけで改善します。
「バイアグラが効かなかった」という方の話をよく聞くと、薬が本当に無効なのではなく、効きにくい条件で使っていたケースが目立ちます。海外の代表的な総説でも、効果不十分例への第一の対処は「正しい使い方の再指導」とされています(McMahon CN, et al. BMJ 2006)。以下を確認してください。
① 空腹で飲んでいるか。とくにバイアグラは食事、なかでも脂っこい食事の影響を強く受けます。食後すぐの服用では吸収が落ち、効果が大きく下がります。
② タイミングは合っているか。服用から効果発現までの時間は薬剤ごとに異なります。飲んですぐ、あるいは時間が経ちすぎてからの性行為では、血中濃度のピークを外してしまいます。
③ 十分な回数を試したか。1〜2回の失敗で「効かない」と判断するのは早すぎます。少なくとも4回以上、条件を整えて試してからの判定が推奨されています。
④ 用量・薬剤は適切か。低用量で効かない場合の増量や、作用時間の異なる薬剤(バイアグラ⇔シアリス⇔レビトラ系)への変更で反応が変わることがあります。自己判断ではなく処方医との相談が前提です。
⑤ 正規品か。個人輸入のED薬には偽造品が多く含まれることが知られています。効かない以前に安全性の問題があるため、必ず医療機関で処方を受けてください。
これらをすべて満たしても効果がない場合、いよいよ「原因側」に目を向ける必要があります。

それでも効かないなら:背景にある「血管性ED」
▼ ダイレクトアンサー:血管性EDとは、陰茎に血液を送る血管の障害(動脈硬化など)によって起こるEDです。陰茎の動脈は直径1〜2mmと心臓の血管(3〜4mm)より細いため、全身の血管の異常が最も早く症状として現れる場所とされます。
勃起は「血管のイベント」です。神経の信号を受けて陰茎の動脈が拡張し、血液が流れ込むことで起こります。ED薬はこの血管拡張を助ける薬なので、血管そのものが硬く・狭くなっていると、薬が助けようにも土台が応えられない──これが「薬が効かない」の代表的な構造です。
そして、このタイプの中心は50代以降の方です。EDの有病率は50代から大きく増えますが、その主な理由は年齢そのものではなく、長年かけて進む血管の老化(動脈硬化)にあります。「歳のせいだから仕方ない」と表現されがちな加齢によるEDの正体は、多くの場合この血管性EDです。原因が血管にある以上、後述するとおり打ち手も存在します。
見逃せないのは、EDが全身からの警告サインでもあることです。約9.3万人を統合したメタアナリシスでは、EDのある男性は心血管イベントの発生リスクが1.44倍、心筋梗塞に限ると1.62倍高いと報告されています(Vlachopoulos CV, et al. Circ Cardiovasc Qual Outcomes 2013)。つまり「ED薬が効かない」という状態は、血管の健康状態を調べる絶好のきっかけでもあります。喫煙・高血圧・脂質異常・肥満・運動不足といった生活習慣病のリスク因子をお持ちの方は、なおさらです。
なお、血糖値の問題を指摘されている方のEDには特有のメカニズムがあります。ご自身に当てはまる方は以下の記事をご覧ください。
糖尿病のEDはなぜ薬が効かない?原因と重症例の治療法を専門医が解説 詳しく見るED薬は対症療法|「ED 根本治療」という考え方
▼ ダイレクトアンサー:ED薬は服用したその時の血流を助ける対症療法であり、EDの原因(血管・ホルモン・生活習慣)は治しません。根本治療とは、原因側に働きかけて「薬なしでも機能する状態」へ近づけるアプローチの総称です。
ED薬を10年飲み続けても、血管の状態が改善するわけではありません。これは薬の欠陥ではなく役割の違いです。そこで、薬と並行して(あるいは薬で満足できなかった後に)原因側へアプローチする選択肢を整理します。
第一は生活習慣の改善です。運動・減量・禁煙・睡眠は血管内皮の機能を改善させる、最も確実性の高い土台です。地味に見えますが、薬の効きを取り戻す方向にも働きます。
第二はホルモン(テストステロン)の評価です。加齢に伴うテストステロン低下(LOH症候群)は、性欲の低下やED薬の効果不良に関わります。血液検査で確認でき、当てはまる場合は治療の選択肢もあります。詳しくは以下の記事で解説しています。
テストステロンを増やす方法|男性更年期の症状・基準値・治療まで 詳しく見る第三が、血管・組織そのものに働きかける再生医療です。これが次章のテーマです。
加齢によるEDに、再生医療(幹細胞・エクソソーム)は何ができるか
▼ ダイレクトアンサー:加齢によるED(血管性ED)に対して、幹細胞治療は血管・組織の老化そのものに働きかける研究段階の選択肢です。加齢モデルの基礎研究では脂肪由来幹細胞の投与で勃起機能と血管・平滑筋の状態が改善し、ヒトでも安全性と改善の報告が積み重なりつつあります。
幹細胞治療がとくに加齢によるEDと相性がよいと考えられる理由は、作用の方向が薬と逆だからです。ED薬が「その場の血流」を助けるのに対し、幹細胞(脂肪由来幹細胞)は血管新生を促す因子や抗炎症性の因子を放出し、老化で衰えた血管・平滑筋の環境そのものに働きかけます。加齢ラット(24か月齢)を使った研究では、脂肪由来幹細胞の投与により勃起機能の指標が改善し、減少していた海綿体の平滑筋・血管内皮も部分的に回復しました。その主な仕組みは、幹細胞が分泌するIGF-1・bFGF・VEGFといった成長因子だと報告されています(Yang J, et al. Andrology 2018)。まさに「加齢で失われたものを補う」方向の作用です。
ヒトでのデータも紹介します。あえて最も条件の厳しい例を挙げると、デンマークの第1相試験では、前立腺全摘後という回復が難しい重度ED患者でも、自家の脂肪由来再生細胞の単回注入により尿失禁のない11人中8人が性交可能なレベルまで回復しました(Haahr MK, et al. EBioMedicine 2016)。効果は12か月後の追跡でも維持され、重篤な有害事象はありませんでした(Haahr MK, et al. Urology 2018)。神経や血管が広範に傷ついた術後EDでこの結果が出たことは、血管の老化が主体である一般的な加齢性EDを考えるうえでも参考になります。
一方で、限界も正直にお伝えします。再生医療系の治療を比較した16試験・907人のネットワークメタアナリシスでは、幹細胞治療は勃起機能スコアの改善傾向を示したものの、対照との差の統計的な確実性はまだ十分ではありませんでした(Hinojosa-Gonzalez DE, et al. J Sex Med 2024)。試験の多くは小規模で、対象もさまざまです。「確立された標準治療」ではなく、「安全性の報告を積み重ねながら発展中の選択肢」というのが2026年時点の位置づけです。

エクソソーム治療という、もう一つの再生医療
近年の研究で、幹細胞の効果の多くは、幹細胞が分泌するエクソソーム(細胞外小胞)などのメッセージ物質を介して生じることが分かってきました。EDの領域でも、幹細胞とその分泌物(エクソソーム)は血管や平滑筋の修復を促す治療候補として研究が進んでいます(Patel AA, et al. Stem Cell Res Ther 2025)。セルグランクリニックではエクソソーム点滴も提供しており、幹細胞治療より始めやすい選択肢として位置づけています。ただしED特化のヒト臨床データはまだ限られており、こちらも研究段階の治療である点は同様です。詳しくは以下のページをご覧ください。
エクソソーム点滴治療|セルグランクリニックの治療詳細 治療ページを見る他院のED治療で満足できなかった方へ|セルグランクリニックの進め方
▼ ダイレクトアンサー:薬を続けるか、あきらめるかの二択ではありません。セルグランクリニックでは原因の評価(ホルモン・生活習慣病リスク・血管の状態)→ 既存治療の見直し → 再生医療を含めた選択肢の提示という順で診療を進めます。
セルグランクリニック(大阪・心斎橋)には、ED治療クリニックで処方を受けたものの満足できなかった、という50代以降の方が多く来院されます。処方を繰り返す前に、まず「なぜ効かないのか」を検査で確認する──それがセルグランクリニックの進め方です。テストステロンを含むホルモン検査、生活習慣病リスクの評価などを行い、原因に応じた組み立てを提案します。院長は日本メンズヘルス医学会のテストステロン治療認定医であり、男性ホルモンの評価から治療まで一貫して対応できます。
そのうえで、適応がある方には再生医療を段階的にご案内しています。本命は自家脂肪由来幹細胞を用いた治療です。セルグランクリニックは、ED(勃起不全)を対象とした第二種再生医療等提供計画を厚生労働省に届け出て受理されています(計画番号:PB5250048)。動脈硬化症を対象とした提供計画(第二種・計画番号:PB5250051)も有しており、加齢性EDの根っこである「血管の老化」に対して複数の角度から取り組める体制です。幹細胞の実施件数は3,000件以上。細胞は既製品を使わず、患者さんごとに約7週間かけて個別培養し、国際細胞治療学会(ISCT)基準の検証と生存率95%以上の確認を経て投与しています。また、まず手軽に始めたい方にはエクソソーム点滴という選択肢もあります。

再生医療は自由診療であり、効果の現れ方には個人差があります。まずは検査で現在地を知るところからで構いません。治療の詳細は以下のページをご覧ください。
ED(勃起不全)に対する幹細胞治療|セルグランクリニックの治療詳細 治療ページを見るメール・LINEでのお問い合わせは無料です。これまでの治療内容をお聞かせください。
よくある質問(FAQ)
Q1. バイアグラが効かないのは、どんな病気が隠れている場合ですか?
A. 代表的なのは動脈硬化などの血管の病気、ホルモン(テストステロン)の低下、神経の障害です。生活習慣病のリスク因子(高血圧・脂質異常・肥満・喫煙)をお持ちの方は血管性の可能性が高まるため、一度検査を受けることをお勧めします。
Q2. バイアグラが効かない場合、シアリスに変えると効きますか?
A. 効く場合があります。作用時間や食事の影響が薬剤ごとに異なるため、切り替えや用量調整で反応が変わることは珍しくありません。ただし、どの薬でも効かない場合は原因側(血管・ホルモン)の評価が必要です。
Q3. 50代以降でED薬が効きにくくなるのは、年齢のせいですか?
A. 年齢そのものより、加齢とともに進む血管の老化(動脈硬化)が主因です。年齢は変えられませんが、血管の状態は生活習慣の改善や治療の対象になります。「歳だから仕方ない」とあきらめる前に、血管とホルモンの評価を受ける価値があります。
Q4. 心因性EDでも薬が効かないことはありますか?
A. あります。強い緊張や不安は、薬の血管拡張作用を上回って勃起を妨げることがあります。また心因性と血管性が混在しているケースも多く、「心因性だから薬で十分」と決めつけず、身体側の評価も並行する価値があります。
Q5. ED薬に頼らずEDを改善する方法はありますか?
A. 運動・減量・禁煙・睡眠改善は血管内皮機能を介して勃起機能の改善に寄与します。テストステロン低下がある場合はその治療も選択肢です。さらに、血管・組織側に働きかける再生医療(幹細胞治療・エクソソーム)が研究段階の選択肢として発展しつつあります。
Q6. 幹細胞治療やエクソソームは保険がききますか?費用はどのくらいですか?
A. いずれも公的保険の適用外(自由診療)です。幹細胞治療の費用は治療計画によって異なるため、診察のうえ個別にご案内しています。治療目的の医療費は医療費控除の対象となる場合があります。
Q7. ED薬が効かないまま放置するとどうなりますか?
A. EDそのものより、背景にある血管の問題を放置することが心配です。EDのある男性は心血管イベントのリスクが1.44倍高いと報告されており、EDは「血管からの早期警告」と考えられています。薬が効かない段階で、一度全身の血管リスクを評価することをお勧めします。
まとめ|「効かない」は、原因を調べ直すサイン
ED薬が効かないとき、打つ手がないわけではありません。まず服用条件の5つのチェック、次に原因の評価(血管・ホルモン・心理面)、そして薬と役割の異なる選択肢(生活習慣・ホルモン治療・幹細胞治療やエクソソームなどの再生医療)の検討──という順番で、道は複数残っています。50代以降の「歳のせい」に見えるEDの多くは血管の老化が正体であり、年齢はあきらめる理由にはなりません。
とくに「効かない」の背景に血管の問題がある場合、それは全身の健康への早期警告でもあります。薬が効かなかったことを、原因を調べ直すきっかけに変える──それがこの記事で一番お伝えしたいことです。
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引用文献
- McMahon CN, Smith CJ, Shabsigh R. Treating erectile dysfunction when PDE5 inhibitors fail. BMJ. 2006;332(7541):589-592. DOI: 10.1136/bmj.332.7541.589
- Vlachopoulos CV, Terentes-Printzios DG, Ioakeimidis NK, et al. Prediction of cardiovascular events and all-cause mortality with erectile dysfunction: a systematic review and meta-analysis of cohort studies. Circ Cardiovasc Qual Outcomes. 2013;6(1):99-109. DOI: 10.1161/CIRCOUTCOMES.112.966903
- Haahr MK, Jensen CH, Toyserkani NM, et al. Safety and potential effect of a single intracavernous injection of autologous adipose-derived regenerative cells in patients with erectile dysfunction following radical prostatectomy: an open-label phase I clinical trial. EBioMedicine. 2016;5:204-210. DOI: 10.1016/j.ebiom.2016.01.024
- Haahr MK, Harken Jensen C, Toyserkani NM, et al. A 12-month follow-up after a single intracavernous injection of autologous adipose-derived regenerative cells in patients with erectile dysfunction following radical prostatectomy: an open-label phase I clinical trial. Urology. 2018;121:203.e6-203.e13. DOI: 10.1016/j.urology.2018.06.018
- Hinojosa-Gonzalez DE, Saffati G, Orozco Rendon D, et al. Regenerative therapies for erectile dysfunction: a systematic review, Bayesian network meta-analysis, and meta-regression. J Sex Med. 2024;21(12):1152-1158. DOI: 10.1093/jsxmed/qdae131
- Yang J, Zhang Y, Zang G, et al. Adipose-derived stem cells improve erectile function partially through the secretion of IGF-1, bFGF, and VEGF in aged rats. Andrology. 2018;6(3):498-509. DOI: 10.1111/andr.12483
- Patel AA, Shafie A, Mohamed AH, et al. The promise of mesenchymal stromal/stem cells in erectile dysfunction treatment: a review of current insights and future directions. Stem Cell Res Ther. 2025;16(1):98. DOI: 10.1186/s13287-025-04221-9
- 日本性機能学会・日本泌尿器科学会編.ED診療ガイドライン第3版.リッチヒルメディカル;2018.
監修:若林雄一(医学博士・MD, PhD/日本メンズヘルス医学会 テストステロン治療認定医)|最終確認日:2026-08-28
最終更新日:2026.08.31