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COLUMN
2026.08.21
コラム

アルツハイマー病の最新治療法【2026年】|新薬レカネマブ・ドナネマブから再生医療(幹細胞治療)まで医師が比較解説

アルツハイマー病の治療は、この数年で選択肢が増えました。2023年以降に承認された新薬(レカネマブ・ドナネマブ)、従来からの症状を和らげる薬、生活習慣の見直し、そして再生医療(幹細胞治療)の4つです。ただし、どの治療も「治す」のではなく「進行を遅らせる」ことが目標である点は変わりません。本記事では2026年時点の治療法を同じ物差しで比較し、ご本人やご家族が「自分に合う治療」を見つけるための考え方を、医師が解説します。

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アルツハイマー病の治療法は4つ ― 2026年時点の全体像

▼ ダイレクトアンサー:アルツハイマー病の最新治療は、①抗アミロイド抗体薬(新薬)、②従来の症状改善薬、③生活習慣への介入、④再生医療(幹細胞治療)の4つに整理できます。病気の段階(病期)によって使える治療が異なり、組み合わせて使うのが現実的です。

まず全体像を一枚にまとめます。細かな数字は後の章で説明しますので、ここでは「何を目的にした治療か」「自分はどの段階にいるのか」の2点だけ押さえてください。

治療 目的 主な対象 保険
新薬(抗アミロイド抗体薬) 原因物質の一つアミロイドβを取り除き、進行を遅らせる 軽度認知障害(MCI)〜軽度。検査でアミロイド陽性が必須 あり(条件付き)
従来薬(ドネペジルなど) 記憶や意欲などの症状を一時的に和らげる 軽度〜高度 あり
生活習慣への介入 発症と進行のリスクを下げる(運動・食事・難聴対策など14因子) 発症前〜軽度
再生医療(幹細胞治療)当院 神経の炎症を抑え、神経を守る物質を補い、進行抑制を目指す MCI〜中等度(医師が個別に判断) なし(自由診療)

生活習慣への介入は「治療」というより土台です。医学誌Lancetの認知症委員会は2024年、難聴・高血圧・運動不足・社会的孤立など14の修正可能なリスク因子に生涯を通じて取り組めば、世界の認知症の最大45%は予防または発症を遅らせられる可能性があると報告しました(Livingston G, et al. Lancet 2024)。どの治療を選ぶにしても、この土台は並行して続ける価値があります。具体的な14因子は以下の記事で解説しています。

アルツハイマー病の最新治療は、①抗アミロイド抗体薬(新薬)、②従来の症状改善薬、③生活習慣への介入、④再生医療(幹細胞治療)の4つに整理できます。
認知症予防|Lancet 14リスク因子で45%低下を狙う生活習慣と最新エビデンス 詳しく見る

アルツハイマー病は「治る」のか ― 進行を遅らせる、が現実的なゴール

▼ ダイレクトアンサー:現時点で、アルツハイマー病を根本的に治す治療はありません。ただし「進行を遅らせる」手段は確実に増えており、早い段階で動くほど選べる治療が多くなります。「治るかどうか」より「いま何段階目で、何ができるか」を知ることが出発点です。

病期(ステージ)と、その段階で使える治療

アルツハイマー病は、もの忘れが目立ち始めるずっと前から脳の変化が始まっています。日常生活は自立しているが検査で低下がわかる「軽度認知障害(MCI)」、生活に支障が出始める「軽度」、介助が必要になる「中等度」、全面的な介助が必要な「高度」と進みます。大切なのは、新薬の対象が「MCI〜軽度」に限られていることです。つまり、症状がはっきりしてから受診すると、新薬という選択肢はすでに使えないことが少なくありません。

病期 日常生活の目安 使える治療の例
発症前 症状なし。検査で変化が出ることも 生活習慣への介入(14因子)
軽度認知障害(MCI) もの忘れはあるが生活は自立 新薬(アミロイド陽性なら)/生活習慣/再生医療
軽度 金銭管理や服薬など複雑なことに支障 新薬(条件あり)/従来薬/再生医療
中等度 着替えや入浴に介助が必要になる 従来薬/再生医療(個別判断)/ケア
高度 全面的な介助 従来薬/ケア中心

「治った例」を探して検索される方も多いのですが、現時点で科学的に確認された「完治」の報告はありません。一方で、進行の速さには個人差が大きく、治療と生活習慣の組み合わせで穏やかな経過をたどる方はいます。本記事で紹介する数値は、すべて査読付きの臨床試験で確認されたものに限っています。

新薬レカネマブ・ドナネマブ ― 効果の実数・副作用ARIA・費用・受けられる条件

▼ ダイレクトアンサー:レカネマブ(レケンビ)とドナネマブ(ケサンラ)は、脳にたまるアミロイドβを取り除く「抗アミロイド抗体薬」です。認知機能の悪化を、レカネマブは18カ月でCDR-SB −0.45、ドナネマブは76週で−0.7抑えました。脳のむくみ(ARIA-E)はそれぞれ12.6%、24.0%に起こっています。

アルツハイマー病の脳には、アミロイドβというタンパク質が発症の10〜20年前から少しずつたまります。新薬はこのアミロイドβに結合して脳から取り除く「抗体」です。ドネペジルなどの従来薬が「症状を和らげる」薬だったのに対し、病気の進み方そのものに働きかける初めての薬として承認されました。日本ではレカネマブが2023年9月に承認され同年12月に発売、ドナネマブが2024年9月に承認され同年11月に発売されています。

作用のしくみ ― アミロイドβを「取り除く」薬

アルツハイマー病の脳には、アミロイドβというタンパク質が発症の10〜20年前から少しずつたまります。新薬はこのアミロイドβに結合して脳から取り除く「抗体」です。ドネペジルなどの従来薬が「症状を和らげる」薬だったのに対し、病気の進み方そのものに働きかける初めての薬として承認されました。日本ではレカネマブが2023年9月に承認され同年12月に発売、ドナネマブが2024年9月に承認され同年11月に発売されています。

効果を数字で読む ― 「27%遅らせた」の本当の意味

レカネマブの第3相試験(Clarity AD、1,795人)では、認知機能と生活機能をまとめた指標CDR-SB(0〜18点、高いほど悪化)の18カ月後の悪化が、プラセボ群1.66点に対しレカネマブ群1.21点でした。差は−0.45点(95%信頼区間 −0.67〜−0.23)で、これが「悪化を27%遅らせた」と表現される数字の正体です(van Dyck CH, et al. N Engl J Med 2023)。

ドナネマブの第3相試験(TRAILBLAZER-ALZ 2、1,736人)では、76週後のCDR-SBの悪化がプラセボ群2.42点に対しドナネマブ群1.72点で、差は−0.7点(95%信頼区間 −0.95〜−0.45)でした。脳内のタウ蓄積が少ない早期の集団では効果がより明確で、差は−0.67点でした(Sims JR, et al. JAMA 2023)。

どちらも「悪化が止まる」のではなく「悪化のスピードが3割ほど緩む」イメージです。18点満点で0.5〜0.7点の差をどう受け止めるかは人それぞれですが、診断直後の方にとっては「自立した時間を数カ月〜1年ほど長く保てる可能性」と言い換えるのが、現時点でもっとも正確な説明だと考えています。

副作用 ― ARIA(脳のむくみ・微小出血)と定期MRI

最も注意が必要な副作用がARIA(アミロイド関連画像異常)です。脳のむくみ(ARIA-E)はレカネマブで12.6%、ドナネマブで24.0%(プラセボ群2.1%)に認められました。多くは無症状で自然に軽快しますが、頭痛やけいれんを起こすことがあり、ドナネマブの試験では治療に関連すると判断された死亡が3例報告されています。点滴中や直後の注入反応はレカネマブで26.4%、ドナネマブで8.7%でした。このため、投与中は決められたタイミングでMRIを繰り返し撮影し、異常があれば休薬や中止を判断します。

受けられる条件と、対象外になる人

新薬は誰でも受けられる薬ではありません。対象は軽度認知障害(MCI)または軽度のアルツハイマー病で、アミロイドPET検査か脳脊髄液検査でアミロイドβの蓄積が確認された方に限られます。目安として、認知機能検査MMSEがレカネマブで22点以上、ドナネマブで20〜28点とされています。さらにMRIで出血リスクを確認し、APOEという遺伝子の型も調べます。抗凝固薬を使っている方や脳の微小出血が多い方は、ARIAのリスクから対象外となることがあります。

実際に治療を希望しても受けられる方は多くありません。東京都健康長寿医療センター研究所の調査では、新薬を希望して受診した患者のうち実際に投与を開始できたのは19.1%でした。対象外になった最大の理由は「すでに進行している」ことで、次いで「本人・家族の辞退」「ARIAへの懸念」「通院の負担」「アミロイド陰性」が続きます(GemMed 2026年4月7日)。

費用・保険・通院の負担

薬剤費は体重50kgの場合、レカネマブで年間約298万円、ドナネマブで年間約308万円です。公的保険が適用され、高額療養費制度により自己負担は所得と年齢に応じた上限額までに抑えられます(例:70歳以上・一般所得区分の外来では年間おおむね14万円程度)。投与はレカネマブが2週間に1回・約1時間の点滴を原則18カ月、ドナネマブが4週間に1回・約30分の点滴を原則18カ月(12カ月時点でアミロイド除去が確認できれば終了可)です。費用そのものより、「1年半、2〜4週ごとに専門病院へ通い、定期的にMRIを受ける」という負担が続けられるかが現実的なハードルになります。

従来薬(ドネペジルなど)との違い

ドネペジル・ガランタミン・リバスチグミン・メマンチンといった従来薬は、脳内の神経伝達物質のバランスを整えて記憶や意欲などの症状を一時的に和らげる薬です。病気の進行そのものを変える薬ではありませんが、軽度から高度まで幅広い病期で使え、新薬と併用されます。新薬の対象外となった方にとっても、従来薬と生活習慣への介入は引き続き治療の柱です。

当院のスタンス抗アミロイド抗体薬は、アミロイド検査・MRI体制・ARIA対応が整った専門医療機関で投与される薬です。当院(CELL GRAND CLINIC)では提供していません。新薬の適応がありそうな方には、まず専門医療機関で検査を受けることをお勧めしています。

新薬の対象外・効果が足りない人の第3の選択肢 ― 幹細胞治療(再生医療)

▼ ダイレクトアンサー:幹細胞治療は、ご自身の脂肪から採取・培養した幹細胞を点滴で戻し、神経の炎症を抑える・神経を守る物質を補う・脳の血流を整える、という新薬とは別の経路で進行の抑制を目指す再生医療です。当院では厚生労働省に第二種再生医療等提供計画が受理された治療(計画番号 PB5260030)として提供しています。

幹細胞治療は、ご自身の脂肪から採取・培養した幹細胞を点滴で戻し、神経の炎症を抑える・神経を守る物質を補う・脳の血流を整える、という新薬とは別の経路で進行の抑制を目指す再生医療です。

なぜ「アミロイド以外」に目を向けるのか ― 神経炎症という視点

新薬はアミロイドβをかなり減らせるのに、認知機能の悪化が3割ほどしか緩まない。この事実は、アルツハイマー病の進行にはアミロイド以外の要因も深く関わっていることを示しています。近年とくに注目されているのが、脳の免疫細胞(ミクログリア)が慢性的に活性化して神経を傷つける「神経炎症」と、脳の血管やバリア機能の低下です。

当院院長の若林は、米国国立衛生研究所(NIH)在籍中に、脳内の炎症シグナルを調節する酵素PDE4B・PDE4DをPETで可視化する研究を筆頭著者として発表しています(Wakabayashi Y, et al. J Nucl Med 2022ACS Chem Neurosci 2020)。これは幹細胞治療の効果を示す研究ではありませんが、「炎症を標的にする」という発想が認知症研究の本流にあることを、研究者として体験してきました。

幹細胞治療のしくみ ― 3つの経路

脂肪由来幹細胞(ADSC)は、投与されると炎症を鎮める物質や神経を守る物質(神経栄養因子)を分泌し、血管の修復を助けます。①神経炎症を抑える、②神経を守り働きを支える、③血液脳関門と血流を整える、という3つの経路で脳の環境を整え、進行の抑制を目指します。幹細胞が「新しい神経に置き換わる」のではなく、「脳が自分で修復しやすい環境をつくる」と考えると実態に近い理解です。

エビデンスの現在地 ― 2025年の臨床試験で何がわかったか

2025年に医学誌Nature Medicineに発表された第2a相のランダム化比較試験では、軽度アルツハイマー病の患者49人に間葉系幹細胞(laromestrocel)を点滴で投与し、39週後の脳の萎縮がプラセボ群に比べて全脳で48.4%、左海馬で61.9%緩やかでした。新薬で問題になるARIAは1例も起こりませんでした(Rash BG, et al. Nat Med 2025)。脳の萎縮という客観的な指標で差が出たこと、ARIAがなかったことの2点が、この試験の重要な意味です。

安全性については、点滴による間葉系幹細胞投与を検討した13のランダム化比較試験(655人)のメタアナリシスで、有害事象の発生は対照群と差がありませんでした(オッズ比0.64、95%信頼区間0.34〜1.20。Wang F, et al. Crit Care 2023)。対象は呼吸器疾患の患者であり、認知症での結果ではありませんが、「幹細胞の点滴そのものは概ね安全」という根拠になります。2024年の系統的レビューでも、アルツハイマー病に対する細胞治療は概ね安全である一方、有効性の証明はまだ初期段階と結論づけられています(Dement Neuropsychol 2024)。

正直にお伝えしておきたい限界アルツハイマー病に対する幹細胞治療のヒトでのデータは、まだ数十人規模の初期段階です。上記の試験で使われたのはドナー由来(他家)の骨髄幹細胞で、当院が用いるご自身の脂肪由来幹細胞(自家ADSC)とは細胞の種類が異なります。作用のしくみは共通ですが、同じ結果を保証するものではなく、効果には個人差があります。「治る」治療ではありません。

新薬との違いを一枚で

項目 抗アミロイド抗体薬承認薬
レカネマブ/ドナネマブ
幹細胞治療当院
自己脂肪由来幹細胞(ADSC)
作用のしくみ 脳にたまったアミロイドβに結合して取り除く 神経の炎症を抑える・神経を守る物質を出す・脳の血流を整える
投与のしかた 2〜4週間ごとの点滴を原則18カ月 点滴を通常1〜数回(治療計画による)
主な対象 MCI〜軽度。アミロイド陽性の確認が必須 MCI〜中等度(医師が個別に判断)
主な副作用 ARIA(脳のむくみ12.6〜24.0%)。定期MRIが必要 一時的な発熱・頭痛など軽度のものが中心
費用・保険 薬剤費 年間約298〜308万円。保険適用・高額療養費あり 自由診療(費用は個別にご案内)
制度上の位置づけ 承認薬・標準治療 研究段階の治療。厚生労働省に第二種再生医療等提供計画を受理(計画番号 PB5260030)

2つの治療は作用の経路が異なるため、理屈のうえでは併用の余地があります。ただし併用の安全性や有効性を確かめた大規模な試験はまだありません。新薬を受けている方、これから受ける方は、必ず主治医と相談したうえでご検討ください。

当院で受けられる方・流れ・回数

当院で幹細胞治療をご検討いただきたいのは、①新薬の対象外と言われた方(病期・アミロイド陰性・ARIAリスク・通院負担など)、②新薬や従来薬を使っていても進行が気になる方、③ご家族に患者がいて発症前から備えたい方です。初診でこれまでの検査結果と経過を確認し、適応があると判断した場合に、腹部から少量の脂肪を採取し、約7週間かけて細胞を培養したうえで点滴で投与します。多くの方で複数回の投与を計画します。費用・採取から投与までの流れ・回数の考え方は、以下の記事で詳しく説明しています。

認知症・アルツハイマー病の再生医療|厚労省受理の幹細胞治療(第二種・PB5260030)費用・効果・エビデンス 詳しく見る

日本神経学会の注意喚起と、当院が満たしている条件

日本神経学会は、自由診療で行われる幹細胞の点滴治療について、有効性が確立していない治療が高額で提供されていることに注意を促しています。当院はこの指摘を正当なものと考え、次の条件のもとで提供しています。厚生労働省に第二種再生医療等提供計画が受理済みであること(計画番号 PB5260030)、使用するのはご自身の細胞のみで他人の細胞やプーリングは行わないこと、細胞の品質基準(継代3回まで・ISCT基準の検査・生存率95%以上)を公開していること、そして「治る」「必ず改善する」とは申し上げないことです。

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軽度認知障害(MCI)・初期の方へ ― 今できること

▼ ダイレクトアンサー:軽度認知障害(MCI)は、新薬の対象になりうる唯一の「入口」の時期であり、生活習慣への介入の効果も最も期待できる段階です。「まだ認知症ではないから様子を見る」のではなく、検査を受けて自分の段階を知ることが最初の一歩です。

まず行っていただきたいのは、専門医療機関での検査です。MRIで脳の状態と出血リスクを確認し、必要に応じてアミロイドPETや脳脊髄液検査でアミロイドβの蓄積を調べます。アミロイド陽性でMCIか軽度であれば新薬の候補になり、陰性や対象外であっても、原因の見直しと生活習慣への介入、再生医療の検討へ進めます。いずれの道でも、14のリスク因子への取り組みは並行して続けてください。発症前の予防を目的とした幹細胞治療の考え方は、前章で紹介した再生医療の記事のFAQで触れています。

治療の選び方 ― 5つの質問

▼ ダイレクトアンサー:治療を選ぶ際は、①いまの病期、②アミロイド検査の結果、③2〜4週ごとの通院と定期MRIを続けられるか、④費用の許容範囲、⑤目標は「遅らせる」ことだと納得できているか、の5点を順に確認すると整理できます。

  • 病期はどこか ― MCI〜軽度なら新薬を含めて検討。中等度以降は従来薬・ケア・再生医療が中心
  • アミロイド検査は受けたか ― 陽性なら新薬の候補。陰性なら別の原因も含めて見直す
  • 通院と検査を続けられるか ― 新薬は1年半、2〜4週ごとの点滴と定期MRIが前提
  • 費用をどう考えるか ― 新薬は保険と高額療養費の範囲内。再生医療は自由診療
  • 目標を共有できているか ― どの治療も「治す」ではなく「遅らせる」。ご家族と目標をそろえる

よくある質問(FAQ)

Q1. アルツハイマー病は治りますか?

A. 現時点で根本的に治す治療はありません。ただし新薬で悪化のスピードを3割ほど緩めた試験結果があり、生活習慣や再生医療を組み合わせて進行を遅らせることを目指します。

Q2. レカネマブとドナネマブの違いは何ですか?

A. どちらもアミロイドβを取り除く抗体薬です。レカネマブは2週ごと、ドナネマブは4週ごとの点滴で、ドナネマブはアミロイドが除去できれば途中で終了できます。脳のむくみ(ARIA-E)はレカネマブ12.6%、ドナネマブ24.0%と報告されています。

Q3. 新薬はどこで受けられますか?当院で受けられますか?

A. アミロイド検査とMRI体制、ARIAへの対応が整った専門医療機関で受けられます。当院では新薬の投与は行っていません。適応がありそうな方には専門医療機関の受診をお勧めしています。

Q4. 新薬と幹細胞治療は併用できますか?

A. 作用の経路が異なるため理屈のうえでは併用の余地がありますが、併用の安全性・有効性を確かめた大規模試験はありません。必ず主治医と相談のうえでご判断ください。

Q5. 幹細胞治療は保険が効きますか?費用はどのくらいですか?

A. 公的保険の適用外(自由診療)です。費用は治療計画によって異なるため個別にご案内しています。医療費控除の対象となる場合があります。

Q6. 家族が軽度認知障害(MCI)と言われました。まず何をすべきですか?

A. 専門医療機関でMRIとアミロイド検査を受け、新薬の対象になるかを確認してください。並行して難聴・高血圧・運動不足など14のリスク因子の見直しを始め、対象外の場合は従来薬や再生医療も含めて選択肢を検討します。

まとめ

アルツハイマー病の治療は、新薬・従来薬・生活習慣・再生医療の4つに整理でき、どれも目標は「進行を遅らせる」ことです。新薬は確かな前進ですが、対象はMCI〜軽度でアミロイド陽性の方に限られ、希望者のうち実際に投与できた方は2割に届きません。

新薬の対象外となった方、効果が足りないと感じる方にとって、当院の自己脂肪由来幹細胞治療は厚生労働省に第二種再生医療等提供計画が受理された(計画番号 PB5260030)第3の選択肢です。ヒトでのデータはまだ初期段階で効果には個人差がありますが、いまの段階でできることを一緒に整理することはできます。お気軽にご相談ください。

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参考文献

  1. van Dyck CH, et al. Lecanemab in Early Alzheimer’s Disease. N Engl J Med. 2023;388(1):9-21. doi:10.1056/NEJMoa2212948
  2. Sims JR, et al. Donanemab in Early Symptomatic Alzheimer Disease: The TRAILBLAZER-ALZ 2 Randomized Clinical Trial. JAMA. 2023;330(6):512-527. doi:10.1001/jama.2023.13239
  3. Livingston G, et al. Dementia prevention, intervention, and care: 2024 report of the Lancet standing Commission. Lancet. 2024;404(10452):572-628. doi:10.1016/S0140-6736(24)01296-0
  4. Rash BG, et al. Allogeneic mesenchymal stem cell therapy with laromestrocel in mild Alzheimer’s disease: a randomized controlled phase 2a trial. Nat Med. 2025. doi:10.1038/s41591-025-03559-0
  5. Wang F, et al. The safety and efficacy of mesenchymal stromal cells in ARDS: a meta-analysis of randomized controlled trials. Crit Care. 2023;27(1):31. doi:10.1186/s13054-022-04287-4
  6. A systematic review of clinical efficacy and safety of cell-based therapies in Alzheimer’s disease. Dement Neuropsychol. 2024. doi:10.1590/1980-5764-DN-2024-0147
  7. Wakabayashi Y, et al. First-in-Human Evaluation of 18F-PF-06445974, a PET Radioligand That Preferentially Targets Phosphodiesterase-4B. J Nucl Med. 2022. doi:10.2967/jnumed.122.263838
  8. Wakabayashi Y, et al. Discovery, Radiolabeling, and Evaluation of Subtype-Selective Inhibitors for PET Imaging of Brain Phosphodiesterase-4D. ACS Chem Neurosci. 2020. doi:10.1021/acschemneuro.0c00077
  9. 東京都健康長寿医療センター研究所(GemMed 2026年4月7日報道):抗アミロイド抗体薬を希望した患者のうち投与開始 19.1%

監修:若林雄一(医学博士・MD, PhD/米国再生医療学会専門医 ABRM)|最終確認日:2026-08-20

最終更新日:2026.08.21

                           

【監修医師】

若林雄一                                    

若林 雄一

                                   

セルグランクリニック院長/医師/医学博士

                                   

【専門分野】
再生医療 幹細胞治療 抗加齢医療 予防医療 美容エイジングケア 放射線医学 

【所属学会・資格】
アメリカ再生医療学会(AARM)専門医/日本抗加齢医学会 専門医/放射線診断専門医/核医学専門医/日本再生医療学会 会員/日本認知症学会 会員                                        

【臨床実績】幹細胞治療 累計3,000件以上(変形性膝関節症・糖尿病・慢性疼痛・美容エイジングケア等)

【略歴】                                        
神戸大学医学部卒業、神戸大学大学院修了(医学博士)。米国国立衛生研究所(NIH)にて研究に従事。近畿大学医学部講師を経てセルグランクリニック 院長就任

【著書・メディア掲載】
著書:『世界一簡単な再生医療の基礎知識』/米国経済誌「ウォール・ストリート・ジャーナル」掲載 /KBS京都テレビ 出演 /国際学術誌に多数の論文を発表 

【監修者としての方針】
本コラムの医学的内容は、再生医療等安全性確保法に基づき厚生労働省へ第二種・三種 再生医療等提供計画を届出済(計画番号:PB5240089ほか)の当院院長が監修しています。科学的根拠(エビデンス)と安全性を重視し、正確でわかりやすい情報発信を心がけています。