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COLUMN
2025.09.21
コラム

認知症・アルツハイマー病の再生医療|幹細胞治療の費用・効果・エビデンスを医師が解説

認知症・アルツハイマー病の再生医療である幹細胞治療とは、ご自身の脂肪組織から採取・培養した脂肪由来幹細胞(ADSC:Adipose-Derived Stem Cells)を静脈点滴で投与し、①脳内の神経炎症を抑える、②神経栄養因子の分泌を通じて神経細胞の機能を保護・再生を促す、③血管機能を改善する、という3つの経路で認知機能の低下抑制を目指す再生医療です。2024〜2025年に発表されたLaromestrocel第2a相試験では、投与群で認知機能の低下抑制と脳容積の保持が報告され、既存の抗アミロイド抗体薬(レカネマブ・ドナネマブ)とは異なる作用機序でアプローチする新しい治療選択肢として注目されています。ただし、国際的な標準治療としての位置づけはまだ確立されておらず、日本では再生医療等安全性確保法のもと、第2種再生医療等提供計画に基づく自由診療(1回あたり約150〜500万円)として実施されている段階です。

認知症・アルツハイマー病の幹細胞治療とは、ご自身の脂肪組織から採取・培養した脂肪由来幹細胞(ADSC:Adipose-Derived Stem Cells)を静脈点滴で投与し、①脳内の神経炎症を抑える、②神経栄養因子の分泌を通じて神経細胞の機能を保護・再生を促す、③血管機能を改善する、という3つの経路で認知機能の低下抑制を目指す再生医療です。

認知症・アルツハイマー病の治療選択肢の全体像 — 予防・薬物療法・再生医療の3本柱

▼ ダイレクトアンサー:認知症・アルツハイマー病へのアプローチは、①生活習慣介入による予防、②抗アミロイド抗体薬(レカネマブ・ドナネマブ)を中心とした薬物療法、③幹細胞治療などの再生医療、の3本柱から成り立ちます。

認知症・アルツハイマー病へのアプローチは、現時点で大きく3つの柱から成り立っています。

  • 生活習慣介入・認知症予防(食事・運動・睡眠・認知トレーニング・生活習慣病管理) — 発症前〜軽度認知障害(MCI)期に有効性が示されつつある領域。詳しくは[認知症の予防法コラム]で解説しています。
  • 薬物療法・認知症新薬(抗アミロイド抗体薬・認知症治療薬) — 2023年以降、レカネマブ(商品名:レケンビ)・ドナネマブ(商品名:ケサンラ)が承認され、MCI〜軽度ADへの選択肢に加わりました。詳しくは[認知症の新薬・薬物療法コラム]で解説しています。
  • 再生医療(幹細胞治療) — 本記事で扱う領域。薬物療法とは異なる作用機序で、神経炎症の抑制・神経栄養因子の分泌・血管機能の改善を通じて認知機能の低下抑制を目指します。

この3つは互いに排他的なものではなく、補完的に組み合わせることが現実的な選択となるケースが増えています。本記事では、認知症・アルツハイマーの幹細胞治療について、仕組み・エビデンス・費用・選び方まで詳しく解説します。

認知症・アルツハイマー病の治療選択肢の全体像 — 予防・薬物療法・再生医療の3本柱

▼ ダイレクトアンサー:認知症・アルツハイマー病へのアプローチは、①生活習慣介入による予防、②抗アミロイド抗体薬(レカネマブ・ドナネマブ)を中心とした薬物療法、③幹細胞治療などの再生医療、の3本柱から成り立ちます。

認知症・アルツハイマーの幹細胞治療(再生医療)とは

▼ ダイレクトアンサー:認知症・アルツハイマーの幹細胞治療(再生医療)とは、患者さん自身の脂肪組織から取り出して培養した幹細胞を静脈点滴で投与し、神経炎症の抑制・神経栄養因子の分泌・血管機能の改善を通じて、認知機能低下の進行抑制を目指す再生医療です。

再生医療と幹細胞治療の定義

再生医療とは、細胞・組織・遺伝子などを用いて失われた機能や損傷した組織の修復・再生を図る医療技術の総称です。その中核をなすのが、分化能(さまざまな細胞種に変化する能力)と自己複製能(自らを増やす能力)を持つ「幹細胞」を用いた幹細胞治療です。

幹細胞治療では、体外で培養した幹細胞を、点滴(静脈内投与)や局所投与で患者さんに投与し、損傷した組織の修復、慢性炎症の抑制、血管機能の改善、神経栄養因子の供給などを図ります。整形外科・循環器・神経内科・皮膚科などの領域で、臨床応用と研究が進んでいます。

日本での規制枠組み(再生医療等安全性確保法)

日本では、再生医療は再生医療等安全性確保法(2014年施行)に基づき、リスクに応じて第1種〜第3種に分類されています。体性幹細胞(ADSC・BM-MSCなど)を用いた自家投与の治療は原則第2種再生医療等提供計画として、特定認定再生医療等委員会の審査を経て、地方厚生局(厚生労働省)に届出のうえ実施されます。当院の認知症・アルツハイマーの幹細胞治療もこの枠組みで提供しています。

自由診療と治験の違い

幹細胞治療は、治験(承認を目指した臨床試験)と自由診療の両方の形で提供されています。治験はより厳格な統計的比較試験(プラセボ対照・多施設・盲検など)であり、承認されれば保険適用される可能性があります。一方、自由診療は再生医療等安全性確保法の枠組みのもとで、すでに安全性が確認された細胞種を個別患者に提供するもので、現時点では保険適用外です。

幹細胞がアルツハイマー病に作用するメカニズム — 神経炎症・神経栄養因子・血管機能の3経路

▼ ダイレクトアンサー:幹細胞がアルツハイマー病に作用する主なメカニズムは、①神経炎症の抑制、②神経栄養因子の分泌によるシナプス保護と神経新生、③血液脳関門と血管機能の改善の3つです。これらは「パラクリン効果」と総称される、細胞が分泌する因子を介した間接的な働きかけによるものです。

投与された幹細胞は、従来考えられていたように脳内に長期定着して神経細胞に分化するわけではありません。近年の研究では、投与された細胞の多くが数日〜数週間で体内から姿を消すことが分かっています。にもかかわらず効果が持続する理由として、「パラクリン効果」と呼ばれる、細胞が分泌する因子を介して周囲の組織に働きかけるメカニズムが中心的と考えられています。

神経炎症の抑制

アルツハイマー病の脳では、脳内免疫細胞であるミクログリアが慢性的に活性化し、TNF-α、IL-1β、IL-6などの炎症性サイトカインが持続的に分泌されています。この慢性神経炎症は、神経細胞死を加速する大きな因子とされています。間葉系幹細胞(MSC)はIDO・PGE2・TGF-βなどの免疫調節因子を分泌し、過剰な炎症応答を鎮めることが、多数の前臨床研究と一部の臨床研究で示されています。

神経栄養因子の分泌によるシナプス保護・神経新生

幹細胞から分泌されるBDNF(脳由来神経栄養因子)、NGF(神経成長因子)、GDNFなどは、既存の神経細胞の生存維持、シナプスの機能保全、海馬における神経新生に関与することが知られています。特に海馬は記憶の中核であり、アルツハイマー病で早期から障害される部位です。動物モデルでは、MSC投与後に海馬のシナプス密度・神経新生マーカーの増加が観察されています。

血液脳関門(BBB)と血管機能の改善

脳内の微小血管機能の低下と血液脳関門の破綻は、アルツハイマー病の病態形成にも関与すると考えられています。幹細胞はVEGFなどの血管新生因子を分泌し、損傷した微小血管の修復を促して脳血流を改善する可能性が示唆されています。血液脳関門の機能改善は、脳内の老廃物クリアランス(アミロイドβ排出)にも寄与しうると議論されています。

幹細胞治療については詳しくはこちらを参照ください。

パラクリン効果

認知症に使われる幹細胞・再生医療治療比較 — ADSC/BM-MSC/UC-MSC/エクソソーム/培養上清

▼ ダイレクトアンサー:認知症・アルツハイマーに研究・臨床応用されている主な幹細胞・再生医療モダリティには、ADSC(脂肪由来幹細胞)、BM-MSC(骨髄由来間葉系幹細胞)、UC-MSC(臍帯由来間葉系幹細胞)、EPC(血管内皮前駆細胞)、幹細胞培養上清液、エクソソームの6種類があります。当院は採取負担の軽さと神経栄養因子の分泌性能からADSC(脂肪由来幹細胞)を採用しています。

認知症・アルツハイマーに研究・臨床応用されている主な幹細胞・再生医療モダリティには、ADSC(脂肪由来幹細胞)、BM-MSC(骨髄由来間葉系幹細胞)、UC-MSC(臍帯由来間葉系幹細胞)、EPC(血管内皮前駆細胞)、幹細胞培養上清液、エクソソームの6種類があります。当院は採取負担の軽さと神経栄養因子の分泌性能からADSCを採用しています。

ADSC(脂肪由来幹細胞)がアルツハイマー病に適している理由

当院がADSC(脂肪由来幹細胞)を認知症・アルツハイマーの幹細胞治療に採用している理由は主に4点あります。

  • 採取負担が少ない — 脂肪吸引による自家採取が比較的低侵襲で、局所麻酔・日帰りで20mL程度の採取が可能
  • 細胞収量が多い — 同量の組織から得られる幹細胞数は、骨髄由来MSCと比べて約100〜500倍
  • 加齢による品質低下が相対的に少ない — 年齢を重ねても採取可能性や増殖能が比較的保たれる
  • 神経栄養因子の分泌 — BDNF・NGF・VEGFなど、神経保護・血管新生に関わるサイトカインを豊富に分泌

これらの性質は、アルツハイマー病の病態ターゲット(慢性神経炎症・神経細胞の機能低下・血管機能障害)と親和性が高いと考えられています。

ADSC(脂肪由来幹細胞)がアルツハイマー病に適している理由

当院がADSC(脂肪由来幹細胞)を認知症・アルツハイマーの幹細胞治療に採用している理由は主に4点あります。

採取負担が少ない — 脂肪吸引による自家採取が比較的低侵襲で、局所麻酔・日帰りで20mL程度の採取が可能

細胞収量が多い — 同量の組織から得られる幹細胞数は、骨髄由来MSCと比べて約100〜500倍

加齢による品質低下が相対的に少ない — 年齢を重ねても採取可能性や増殖能が比較的保たれる

神経栄養因子の分泌 — BDNF・NGF・VEGFなど、神経保護・血管新生に関わるサイトカインを豊富に分泌

これらの性質は、アルツハイマー病の病態ターゲット(慢性神経炎症・神経細胞の機能低下・血管機能障害)と親和性が高いと考えられています。

培養上清液/エクソソームと幹細胞投与の違い

「幹細胞培養上清液」「エクソソーム」は、細胞そのものを含まず、幹細胞から分泌された因子のみを利用する治療法です。これらは規制上「再生医療等安全性確保法」の対象外(=再生医療ではない)として扱われることが多く、幹細胞投与とは法的位置づけ・品質管理基準・エビデンスレベルが大きく異なります。アルツハイマー病への有効性については、培養上清液・エクソソームともに前臨床研究段階であり、臨床試験データは幹細胞投与に比べて限られています。ご検討の際は、投与物に生きた幹細胞が含まれているのか、規制上どの枠組みで提供されているのかを医療機関に確認することをおすすめします。

ADSVF(脂肪組織血管間質分画)とADSC(脂肪由来幹細胞)の違い(よくある誤解)

ADSC(脂肪由来幹細胞)と混同されがちな用語にADSVF(Adipose-Derived Stromal Vascular Fraction:脂肪組織血管間質分画)があります。ADSVFは脂肪組織を酵素処理して得られる細胞混合物で、幹細胞を含むものの、血管内皮細胞・免疫細胞など多様な細胞が混在した分画です。一方、ADSC(脂肪由来幹細胞)はADSVF(脂肪組織血管間質分画から培養・純化された幹細胞で、細胞種の均一性・品質管理の精度が異なります。一般に臨床試験データが蓄積しているのは培養ADSC(脂肪由来幹細胞)です。

認知症・アルツハイマー幹細胞治療の臨床エビデンス

▼ ダイレクトアンサー:2026年時点で、認知症・アルツハイマーの幹細胞治療は第1相・第2相の早期臨床試験段階です。代表的なLaromestrocel(他家BM-MSC)の第2a相ARTISAN試験では、投与群で脳容積の保持と認知機能低下の抑制傾向が報告されていますが、第3相による最終確認はまだ行われていません。

Longeveron社 Laromestrocel(旧 Lomecel-B)

米国Longeveron社が開発する他家骨髄由来間葉系幹細胞(allogeneic BM-MSC)製剤で、アルツハイマー病に対する幹細胞治療で国際的に開発が進んでいる候補の一つです。

  • CLEAR MIND試験(Phase 1/NCT02600130): 軽度アルツハイマー病患者を対象とした単回静脈内投与の安全性・忍容性評価。重篤な有害事象は報告されず、探索的評価として認知機能・脳MRI指標・バイオマーカーでの好ましい変化が報告(Brody M, et al., 2023)
  • ARTISAN試験(Phase 2a): 2024〜2025年に結果が段階的に公開され、投与群でプラセボ群に比べ脳容積の保持・認知機能低下の抑制が示されています。ADAS-Cog、MMSE、CDR-SOB、海馬容積・全脳容積などで好ましい傾向

自家ADSC(脂肪由来幹細胞)投与の臨床研究

韓国・日本・米国を中心に、軽度〜中等度アルツハイマー病患者に対する自家ADSC(培養)の静脈内投与の小規模臨床研究が複数実施されています。いずれも主要評価項目は安全性・忍容性で、重篤な有害事象なし、副次評価ではMMSE・ADAS-Cogの認知機能スコアの維持〜改善が報告されるものが多い一方、対照群を置かない単群試験が多く、効果の確定には比較試験が必要とされています。

系統的レビュー:Feizi 2024(PMID: 39258164)

Feizi A らによる2024年の系統的レビュー・メタ解析では、アルツハイマー病および軽度認知障害(MCI)に対するMSC療法の複数試験を統合的に解析しました。報告された知見は以下の通りです。

  • 重篤な有害事象の増加は認められない(安全性は許容範囲)
  • 複数の認知機能評価指標で改善傾向が観察される
  • 試験ごとの細胞源(自家/他家)、投与量、投与経路、追跡期間のばらつきが大きい
  • 結論として、より大規模かつ標準化されたプロトコルによる第3相試験の必要性が指摘

【重要】エビデンスの位置づけ

2026年時点で、認知症・アルツハイマーの幹細胞治療は国際的に確立された標準治療ではありません。多くのデータは第1相・第2相の早期臨床試験段階であり、有効性・安全性の最終確認には第3相試験を待つ必要があります。日本では再生医療等安全性確保法のもと、第2種再生医療等提供計画として厚生労働省(地方厚生局)に届出された治療として自由診療で実施されています。効果には個人差があり、すべての方に劇的な改善が得られるわけではないことをご理解のうえで治療をご検討ください。

抗アミロイド抗体薬(レカネマブ・ドナネマブ)と幹細胞治療の違い — 作用機序・費用・併用可能性

▼ ダイレクトアンサー:抗アミロイド抗体薬(レカネマブ・ドナネマブ)はアミロイドβを直接除去する薬剤で保険適用あり、幹細胞治療は神経炎症抑制と神経栄養因子分泌を介するパラクリン効果で作用し自由診療です。作用機序が補完的なため、併用研究の可能性があります。

2023年以降、アミロイドβに直接作用する抗アミロイド抗体薬が日本でも承認され、MCI〜軽度アルツハイマー病の治療選択肢となりました。幹細胞治療との違いを簡潔に比較します。

項目抗アミロイド抗体薬(レカネマブ/ドナネマブ)幹細胞治療(ADSC)
作用機序アミロイドβプロトフィブリル/プラークに結合し除去神経炎症抑制・神経栄養因子分泌・血管機能改善
投与経路2〜4週間ごとの静脈点滴(継続投与)通常1〜数回の静脈点滴(計画による)
主な対象MCI〜軽度AD(アミロイド陽性確認必須)MCI〜中等度AD(計画による)
主な副作用ARIA(脳浮腫・微小出血)一時的な発熱・頭痛など軽度
保険適用適用あり(条件付き)自由診療
エビデンス位置承認薬・標準治療研究段階/自由診療

抗アミロイド抗体薬は病態の上流(アミロイドβ蓄積)を標的とし、幹細胞治療は下流(神経炎症・神経保護)にアプローチするため、理論上は作用機序が補完的で、将来的な併用研究が期待されます。現時点で併用の安全性・有効性を示した大規模試験はなく、併用を検討する場合は主治医とのご相談が不可欠です。

抗アミロイド抗体薬(レカネマブ・ドナネマブ)の作用機序・効果・副作用(ARIA)・費用・適応条件の詳細は、[認知症の新薬・薬物療法コラム]で詳しく解説しています。

認知症・アルツハイマー幹細胞治療の流れ — 脂肪採取から静脈点滴投与まで

▼ ダイレクトアンサー:当院の認知症・アルツハイマー幹細胞治療は、①初診カウンセリング、術前検査、腹部から約20mLの脂肪採取、②CPCで約7週間のADSC培養・品質検査、③約1時間の静脈点滴投与の3ステップで進みます。

当院では、ご自身の腹部から少量の脂肪組織を採取し、認定された細胞培養加工施設(CPC)で培養したADSCを静脈点滴で投与します。

  • 初診・カウンセリング: 症状、既往歴、服薬状況、ご家族構成、ご希望をうかがい、治療適応を評価。MMSE等の認知機能検査結果を持参いただく場合あり
  • 術前検査: 血液検査、感染症検査、必要に応じて画像検査
  • 脂肪採取: 局所麻酔下で腹部から約20mL程度採取。所要時間は約30分、日帰り。抜糸は通常1週間後
  • 細胞培養: CPCで約7週間かけてADSCを培養・品質検査。細胞数・生存率を確認し基準を満たしたものを投与に使用
  • 投与(静脈点滴): 培養完了後、約1時間の点滴で投与。日帰りで翌日から通常生活が可能
認知症・アルツハイマー幹細胞治療の流れ — 脂肪採取から静脈点滴投与まで

認知症・アルツハイマーの幹細胞治療で期待できる効果と実感までの期間

▼ ダイレクトアンサー:認知症・アルツハイマーの幹細胞治療では、MMSE・ADAS-Cogなどの認知機能スコアの低下抑制・維持、感情の安定、会話量や表情の改善、睡眠の質の改善、易怒性・不安の軽減などが報告されています。効果の実感は投与後1〜3か月から徐々に現れ、半年〜1年程度持続するのが目安です。

臨床試験および当院症例で報告されている変化には次のようなものがあります(効果には個人差があります)。

  • MMSE・ADAS-Cogなどの認知機能評価スコアの低下抑制または維持
  • 感情の安定、会話量・表情の改善(ご家族からの報告が多い項目)
  • 睡眠の質の改善
  • 易怒性・不安の軽減
  • 日中活動量・意欲の向上

効果の実感時期は投与後1〜3か月から徐々に現れることが多く、半年〜1年程度持続した後、効果を維持するために追加投与を計画する場合もあります。個々の方の病期・既往・生活環境により経過は異なります。

副作用・安全性 — 認知症・アルツハイマー幹細胞治療のリスクと受けられない方

▼ ダイレクトアンサー:認知症・アルツハイマー幹細胞治療で報告されている副作用は、一時的な発熱・頭痛・倦怠感・投与部位の違和感など軽度〜中等度が中心で、多くは数日以内に回復します。悪性腫瘍活動性・重度感染症・妊娠中・全身状態不良などの方は治療を受けられません。

報告されている有害事象

これまでの国内外の臨床試験で報告されている主な有害事象は、一時的な発熱・頭痛・倦怠感・投与部位の違和感など軽度〜中等度のもので、ほとんどが数日以内に回復しています。重篤な有害事象の報告は限定的です。ただし、すべての医療行為と同様にリスクはゼロではなく、事前のリスク説明を十分に行ったうえで治療を実施します。

治療を受けられない方の例

  • 悪性腫瘍の活動性がある方
  • 重度の感染症(活動性結核・HIV等)をお持ちの方
  • 妊娠中または授乳中の方
  • 麻酔や脂肪採取に耐えられないほどの全身状態の方
  • 治療の内容・限界について理解・同意が困難な方
  • 治療目的に対する明らかな医学的不適応がある方

制度的な安全性確保

当院の認知症・アルツハイマー幹細胞治療は再生医療等安全性確保法に基づき、所定の特定認定再生医療等委員会の審査を経て、地方厚生局に第2種再生医療等提供計画を届出のうえ実施しています。細胞培養は認定された細胞培養加工施設(CPC)で行い、細胞数・生存率・無菌性の品質検査をクリアしたもののみを投与に用います。

認知症・アルツハイマーの幹細胞治療の費用 — 150〜500万円の相場・保険適用・医療費控除

▼ ダイレクトアンサー:認知症・アルツハイマーの幹細胞治療の費用相場は、自由診療で1回あたり約150万〜500万円です。2026年4月現在、公的医療保険の適用はありません。治療目的の医療費は確定申告で医療費控除の対象となる可能性があります。

費用相場

認知症・アルツハイマー病に対する幹細胞治療は自由診療であり、国内各施設の費用相場は1回あたり約150万〜500万円です。細胞の種類(自家/他家)、培養回数、投与細胞数、投与回数、付随する検査内容などによって金額が変わります。当院の料金詳細はお問い合わせください。

保険適用

2026年4月現在、認知症・アルツハイマー病に対する幹細胞治療は公的医療保険の適用外(自由診療)です。将来的な保険収載には、第3相試験による有効性・安全性の確立と厚生労働省による承認が必要です。

医療費控除

自由診療であっても、治療目的の医療費として支払ったものは、医療費控除の対象となる可能性があります。適用可否は最終的に税務署の判断となるため、確定申告時に領収書を保管し、税理士等にご相談ください。

医療費控除については詳しくはこちらを参照ください。

費用検討時のチェックポイント

  • 総額(脂肪採取費・培養費・投与費・フォローアップ費)に何が含まれるか
  • 投与される細胞数(一般に 1億~2億個のオーダーが多い)と生存率の開示有無
  • 複数回投与の費用プランと追加投与の判断基準
  • 副作用発生時の対応体制

認知症の幹細胞治療の施術頻度と効果持続 — 何回受けるべき?

▼ ダイレクトアンサー:当院の認知症・アルツハイマー幹細胞治療では、初回投与後の経過とご希望に応じて、3〜6か月ごとの追加投与を計画することが多いです。1回のみではなく複数回投与のほうが認知機能の維持効果が得やすいとする報告が増えています。

当院では、初回投与後の経過とご希望に応じて、3〜6か月ごとの追加投与をご提案する場合があります。臨床研究データは試験ごとに投与回数が異なりますが、1回のみではなく計画的な複数回投与のほうが認知機能の維持効果が得られやすい、とする報告が増えています。

一方で、幹細胞治療だけで発症前の認知機能を完全に取り戻す、といった効果は現時点では示されていません。生活習慣介入(食事・運動・睡眠・認知刺激)と併用することで、治療効果を相乗的に高められる可能性があります。予防的生活習慣の具体策については[認知症の予防法コラム]で詳しく解説しています。

認知症・アルツハイマーの再生医療クリニックを選ぶときのチェックリスト — 7つのポイント

▼ ダイレクトアンサー:認知症・アルツハイマーの再生医療クリニックを選ぶ際は、①厚労省への第2種提供計画の届出、②CPCの認定、③細胞の品質保証(細胞数・生存率・無菌性)、④監修医師の学会所属、⑤有害事象の報告の透明性、⑥料金と効果の誠実な説明、⑦インフォームド・コンセントの質、の7点を確認することが重要です。

認知症・アルツハイマー病の幹細胞治療は、クリニックによって提供内容・品質管理・料金が大きく異なります。受診先を検討するときは以下を確認することをおすすめします。

  • 厚労省への届出状況 — 第2種再生医療等提供計画として届出されているか(計画番号の開示の有無)
  • 細胞培養加工施設(CPC)の認定 — 提供医療機関が自施設CPCをもつか、委託先のCPCが認定施設か
  • 細胞の品質保証 — 投与細胞数・生存率・無菌性検査結果の開示があるか
  • 監修医師の専門性 — 日本再生医療学会・日本抗加齢医学会・日本神経学会など関連学会への所属
  • 過去の実績・副作用報告の透明性 — 有害事象の報告体制と実績の公開
  • 費用と効果に関する説明の誠実さ — 「完治」「根治」などの断定的な効果保証がなされていないか
  • インフォームド・コンセントの質 — 治療のリスク・限界について、書面と口頭で十分な説明があるか

「絶対に治る」「100%効果がある」といった断定的な表現を使う施設は避け、エビデンスの限界を誠実に伝える施設を選ぶことが重要です。

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認知症・アルツハイマーの再生医療クリニックを選ぶときのチェックリスト — 7つのポイント

▼ ダイレクトアンサー:認知症・アルツハイマーの再生医療クリニックを選ぶ際は、①厚労省への第2種提供計画の届出、②CPCの認定、③細胞の品質保証(細胞数・生存率・無菌性)、④監修医師の学会所属、⑤有害事象の報告の透明性、⑥料金と効果の誠実な説明、⑦インフォームド・コンセントの質、の7点を確認することが重要です。

認知症・アルツハイマー病の幹細胞治療は、クリニックによって提供内容・品質管理・料金が大きく異なります。受診先を検討するときは以下を確認することをおすすめします。

厚労省への届出状況 — 第2種再生医療等提供計画として届出されているか(計画番号の開示の有無)

細胞培養加工施設(CPC)の認定 — 提供医療機関が自施設CPCをもつか、委託先のCPCが認定施設か

細胞の品質保証 — 投与細胞数・生存率・無菌性検査結果の開示があるか

監修医師の専門性 — 日本再生医療学会・日本抗加齢医学会・日本神経学会など関連学会への所属

過去の実績・副作用報告の透明性 — 有害事象の報告体制と実績の公開

費用と効果に関する説明の誠実さ — 「完治」「根治」などの断定的な効果保証がなされていないか

インフォームド・コンセントの質 — 治療のリスク・限界について、書面と口頭で十分な説明があるか

「絶対に治る」「100%効果がある」といった断定的な

よくある質問(FAQ)

Q1. 認知症・アルツハイマーの幹細胞治療の費用はいくらですか?

A. 自由診療のため施設により異なりますが、認知症・アルツハイマー病に対する幹細胞治療は一般的に1回あたり約100万〜300万円が相場です。当院の料金はご相談時にご案内しています。

Q2. アルツハイマー病の最新治療法にはどのようなものがありますか?

A. 治療・予防の選択肢は大きく3つです。①生活習慣介入による認知症予防([認知症の予防法コラム])、②薬物療法・認知症新薬(抗アミロイド抗体薬レカネマブ・ドナネマブなど/[認知症の新薬・薬物療法コラム])、③再生医療・幹細胞治療(本記事)。病期に応じて組み合わせます。

Q3. 認知症・アルツハイマーの幹細胞治療の効果はどのくらい続きますか?

A. 個人差がありますが、1回の投与で半年〜1年程度効果が持続する方が多く、その後は効果を維持するために定期的な追加投与を検討します。

Q4. 認知症・アルツハイマーの幹細胞治療は医療費控除の対象になりますか?

A. 治療目的の医療費として支払った場合、医療費控除の対象となる可能性があります。適用可否は税務署が判断します。確定申告時に領収書を保管し、税理士等にご相談ください。

Q5. 認知症の幹細胞の投与は何回くらい必要ですか?

A. 治療計画によりますが、初回投与後の効果と経過観察のうえで、3〜6か月ごとに1回の追加投与を組むケースが一般的です。回数は病期・既往歴・治療目標に応じて個別に設計します。

Q6. 認知症・アルツハイマー病は幹細胞治療で治りますか?

A. 現時点の国際的コンセンサスでは、認知症・アルツハイマーの幹細胞治療が「根治」を証明した治療ではありません。症状の進行抑制や認知機能の維持・改善が期待される治療という位置づけです。根治を断定する広告表現は、薬機法・医療広告ガイドラインの観点からも適切ではありません。

Q7. 認知症の幹細胞治療はレカネマブなど既存薬と併用できますか?

A. 作用機序が異なるため理論上は併用余地がありますが、併用の有効性・安全性を示した大規模臨床試験はまだ限定的です。主治医と相談のうえ、ご判断ください。新薬の作用機序・費用・副作用の詳細は[認知症の新薬・薬物療法コラム]で解説しています。

Q8. 認知症・アルツハイマー幹細胞治療の副作用にはどのようなものがありますか?

A. 報告されているのは、一時的な発熱・頭痛・倦怠感などの軽度〜中等度の有害事象が中心です。重篤な有害事象の報告は限定的ですが、ゼロではないため事前のリスク説明をしっかり行ったうえで治療を実施します。

Q9. 培養上清液・エクソソーム治療と幹細胞治療は何が違いますか?

A. 幹細胞治療は培養した生きた幹細胞を直接投与する治療で、再生医療等安全性確保法のもとで実施されます。一方、培養上清液・エクソソーム治療は、幹細胞から分泌された因子(サイトカイン・小胞)のみを利用する治療で、細胞そのものは含まれません。規制上「再生医療」ではない扱いとなるケースが多く、臨床エビデンスの蓄積も幹細胞投与に比べ限定的です。

Q10. 認知症の発症前に予防目的で幹細胞治療を受けることはできますか?

A. アルツハイマー病の発症前予防としての幹細胞治療の有効性は、臨床エビデンスがまだ確立されていません。現時点で幹細胞治療は主にMCI〜軽度AD患者に対する進行抑制を目的とした適応です。発症前の予防としては、食事・運動・睡眠・認知刺激・生活習慣病の管理など、エビデンスがより豊富な生活習慣介入を優先することをおすすめします(詳しくは[認知症の予防法コラム]をご覧ください)。

Q11. アルツハイマー病に幹細胞治療は効きますか? 成功率は?

A. 2026年時点のエビデンスでは、Laromestrocel第2a相試験などで認知機能低下の抑制傾向や脳容積の保持が報告されていますが、成功率(改善した人の割合)を明示できる大規模第3相データはまだありません。効果には個人差があり、全員に劇的な改善が得られるものではない前提でご検討ください。

Q12. 認知症の幹細胞治療はどこで受けられますか?(大阪・関西)

A. 日本では再生医療等安全性確保法に基づく第2種再生医療等提供計画の届出医療機関で受けることができます。当院CELL GRAND CLINIC(大阪・心斎橋)もその一つです。受診先を選ぶ際は上記の「クリニックを選ぶときのチェックリスト」をご参照ください。

まとめ

自己脂肪由来幹細胞を用いたアルツハイマー病治療は、まだ研究の途上にあります。とはいえ、これまでの臨床研究では安全性が徐々に確認され、効果の兆しも報告されていることが大きな前進です。

今後さらに大規模で質の高い研究が進めば、幹細胞治療が認知症治療の新たな選択肢として現実のものになる可能性があります。
一日も早く治療法が確立され、患者様とご家族の負担を少しでも軽くできることが期待されます。

参考文献


1.Kim HJ, Seo SW, Chang JW, Lee JI, Kim CH, Chin J, Choi SJ, Kwon H, Yun HJ, Lee JM, Kim ST, Choe YS, Lee KH, Na DL. Stereotactic brain injection of human umbilical cord blood mesenchymal stem cells in patients with Alzheimer’s disease dementia: A phase 1 clinical trial. Alzheimers Dement (N Y). 2015;1(2):95-102. doi:10.1016/j.trci.2015.06.007

2. Duma C, Kopyov O, Kopyov A, et al. Human intracerebroventricular (ICV) injection of autologous, non-engineered, adipose-derived stromal vascular fraction (ADSVF) for neurodegenerative disorders: results of a 3-year phase 1 study of 113 injections in 31 patients. Mol Biol Rep. 2019;46(5):5257-5272. doi:10.1007/s11033-019-04983-5

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4. Rash BG, Ramdas KN, Agafonova N, et al. Allogeneic mesenchymal stem cell therapy with laromestrocel in mild Alzheimer’s disease: a randomized controlled phase 2a trial. Nat Med. 2025;31(4):1257-1266. doi:10.1038/s41591-025-03559-0

5. Feizi H, Hosseini MS, Seyedi-Sahebari S, Karimi H, Mosaddeghi-Heris R, Sadigh-Eteghad S, Sadeghi-Ghyassi F, Talebi M, Naseri A, Salehi-Pourmehr H, Roshangar L. A systematic review of clinical efficacy and safety of cell-based therapies in Alzheimer’s disease. Dement Neuropsychol. 2024;18:e20240147. doi:10.1590/1980-5764-DN-2024-0147

最終更新日:2026.04.28

                           

【監修医師】

若林雄一                                    

若林 雄一

                                   

セルグランクリニック院長/医師/医学博士

                                   

【専門分野】
再生医療 幹細胞治療 抗加齢医療 予防医療 美容エイジングケア 放射線医学 

【所属学会・資格】
アメリカ再生医療学会(AARM)専門医/日本抗加齢医学会 専門医/放射線診断専門医/核医学専門医/日本再生医療学会 会員/日本認知症学会 会員                                        

【臨床実績】幹細胞治療 累計3,000件以上(変形性膝関節症・糖尿病・慢性疼痛・美容エイジングケア等)

【略歴】                                        
神戸大学医学部卒業、神戸大学大学院修了(医学博士)。米国国立衛生研究所(NIH)にて研究に従事。近畿大学医学部講師を経てセルグランクリニック 院長就任

【著書・メディア掲載】
著書:『世界一簡単な再生医療の基礎知識』/米国経済誌「ウォール・ストリート・ジャーナル」掲載 /KBS京都テレビ 出演 /国際学術誌に多数の論文を発表 

【監修者としての方針】
本コラムの医学的内容は、再生医療等安全性確保法に基づき厚生労働省へ第二種・三種 再生医療等提供計画を届出済(計画番号:PB5240089ほか)の当院院長が監修しています。科学的根拠(エビデンス)と安全性を重視し、正確でわかりやすい情報発信を心がけています。