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COLUMN

2025.03.27
コラム

最新のアンチエイジング医療 :幹細胞治療の仕組みと効果②

幹細胞がもたらす主なアンチエイジング効果と仕組み

  1. 慢性炎症を抑える(抗炎症作用)
    私たちの体内では、年齢とともに慢性的な炎症がじわじわと高まってくることが知られています。これは「静かな炎症」などとも呼ばれ、老化を加速させる大きな要因です。例えば老化した細胞から出る物質が周囲に炎症を引き起こし、コラーゲンなど組織を傷つけたり、生活習慣病の原因になったりします。幹細胞治療には、こうした有害な慢性炎症を鎮める強力な抗炎症作用があります。幹細胞自体が傷んだ組織に働きかけて炎症を修復するだけでなく、幹細胞から放出されるサイトカイン(細胞間の情報伝達を行うタンパク質)やエクソソーム(細胞が放出する微小な粒子)が、体内で炎症を促す物質の産生を抑制し、逆に炎症を抑える物質の産生を促すことが分かっています 。実際、幹細胞を点滴投与した高齢患者では、治療6か月後に炎症の指標となるTNF-α(腫瘍壊死因子)という物質が有意に低下し、炎症状態の改善が確認されています。 幹細胞が放出するエクソソームやサイトカインによって免疫のバランスが整えられ、組織の炎症が軽減されます。その結果、細胞へのダメージ蓄積が抑えられ、老化の進行を遅らせることにつながります。
  2. 活性酸素を減らす(抗酸化作用)
    活性酸素(フリーラジカル)も老化の大きな原因の一つです。活性酸素は体内で細胞を“サビ”つかせるように酸化ダメージを与え、シミやシワ、動脈硬化など様々な老化現象を引き起こします。通常、体には活性酸素を消去する抗酸化システムがありますが、加齢に伴いその働きが追いつかなくなってきます。
    幹細胞治療は、この活性酸素を減らす抗酸化作用も発揮します。幹細胞から分泌されるエクソソームの中には**グルタチオンペルオキシダーゼ(GPX1)**など強力な抗酸化酵素が含まれており、傷ついた細胞で過剰に発生した活性酸素種(ROS)を効果的に除去します。その結果、細胞膜やDNAへの損傷が軽減し、老化による機能低下を防ぐのに役立ちます。抗炎症作用と抗酸化作用が相乗的に働くことで、体内の細胞環境を若々しく保つことができるのです。
  3. 組織の修復・再生を促す
    幹細胞治療のもう一つの重要な作用が、組織の再生を促すことです。幹細胞そのものがダメージを受けた細胞に変わって補充されるだけでなく、幹細胞が放出するサイトカインや成長因子が周囲の細胞を活性化し、新しい細胞の産生や組織の修復を後押しします 。例えば、幹細胞の培養上清液にはコラーゲンエラスチン(肌の弾力成分)を産生する線維芽細胞を刺激する物質が含まれており、これにより肌のハリ・ツヤが改善することが研究で報告されています。実際に、脂肪由来幹細胞のエクソソームを紫外線でダメージを受けた皮膚に与える実験では、コラーゲンやヒアルロン酸の産生が増え、シワの原因となる酵素(MMP)の働きが抑制されました。これは幹細胞治療が肌の内側から若返らせるエビデンスと言えるでしょう。
    また、全身への点滴によって幹細胞やその分泌因子が各組織に行き渡ることで、血管や神経、筋肉など体中の組織で微小な修復が進むと考えられます。実際、幹細胞の点滴療法を受けた高齢患者で歩行速度や握力など身体機能が改善し、生活の質が向上したとの報告もあります。幹細胞の再生能力により、まさに身体の中から若返る効果が期待できるのです。
  4. 安全性と今後の展望
    最新医療というと安全面が気になるかもしれませんが、幹細胞点滴療法はこれまでの臨床研究で良好な安全性が確認されています。複数の臨床試験で、幹細胞の静脈投与による重篤な副作用や免疫拒絶反応は生じなかったとのデータが報告されています。当院で行う自己脂肪由来の幹細胞療法でも、自分の細胞を用いるため拒絶反応のリスクは極めて低く、安全に施術を受けていただけます。他家由来の幹細胞上清液を用いる場合も、細胞を含まない上清のみを使用することで免疫反応のリスクを最小限に抑えています。点滴治療は痛みも少なく日帰りで受けられるため、身体への負担もほとんどありません。治療後は体の中で徐々に変化が起こり、数日~1か月かけて効果が現れてきます。

    現在、世界中で幹細胞を用いたアンチエイジングの研究が進んでおり、日本国内でも臨床研究や自由診療の現場でこの療法が導入され始めています。例えばアメリカの研究では、幹細胞を点滴した高齢者で**フレイル(加齢による脆弱状態)**が改善し、身体機能と生活の質が向上したとの報告があります。また、日本でも美容分野で顔の皮下に幹細胞を注入してシワや肌質を改善する試みが行われ、良好な結果が得られています。こうしたエビデンスの蓄積により、幹細胞療法は「最新のエイジングケア医療」として今後ますます期待が高まっています。

当クリニックで受けられる幹細胞エイジングケア治療

当クリニックでは、主にご自身の主にお腹の脂肪を利用した自己脂肪由来幹細胞の点滴治療や、幹細胞上清液を用いた点滴療法および顔などへの幹細胞上清液注入療法を提供しています。点滴療法では、全身のエイジングケア効果を目指します。一方、顔への治療では、幹細胞上清液を美容目的で顔の皮膚に直接注入することで、コラーゲン産生を促して肌のハリを取り戻し、小ジワやくすみの改善を図ります。いずれの治療も入院の必要はありません。施術後すぐに日常生活に復帰できる手軽さも利点です。
治療に用いる幹細胞上清液は、厳格な品質管理のもと製造されたものを使用しており、安全性にも十分配慮しています。施術は再生医療の専門知識を持った医師が担当し、患者様の状態に合わせた治療を行います。「体の内側から若返りたい」「最新のエイジングケアを試してみたい」という方は、お気軽に当クリニックにご相談ください。

まとめ

幹細胞点滴療法は、抗炎症作用・抗酸化作用・組織再生作用といった多角的なアプローチで老化現象に立ち向かう最先端のエイジングケア医療です。これまでの美容法と違い、細胞レベルで身体を若返らせることで美容効果だけでなく全身の健康増進も期待できます。臨床研究でも効果と安全性が示されており (4)、安心して受けられる治療として注目されています。最新の再生医療によるアンチエイジングで、いつまでも若々しく健やかな人生を送りましょう。

参考文献: 抗加齢医療における幹細胞治療のメカニズムや有効性について、インパクトファクターの高い医学論文から情報を引用しています
・Recent clinical trials with stem cells to slow or reverse normal aging processes. Ricardo P. G, et al. Frontiers in Aging Volume 4:2023
・The secretion profile of mesenchymal stem cells and potential applications in treating human diseases. Yuyi Han, et al. Signal Transduct Target Ther. 2022
・Mesenchymal Stem Cell-Derived Exosomes and Other Extracellular Vesicles as New Remedies in the Therapy of Inflammatory Diseases. Harrell CR, et al. Cells. 2019 Dec 11;8(12):1605.
・Safety and efficacy of umbilical cord tissue-derived mesenchymal stem cells in the treatment of patients with aging frailty: a phase I/II randomized, double-blind, placebo-controlled study. Yingqian Z, et al. Stem Cell Research & Therapy volume 15, 2024
・Application of adipose-derived stem cells in photoaging: basic science and literature review. Shidie C, et al. Stem Cell Research & Therapy volume 11, 2020