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COLUMN
2025.08.04
コラム

ゴルフ肘に対する幹細胞治療の可能性|痛みから解放される最新の再生医療

ゴルフ肘の痛みに悩んでいませんか?

「ゴルフのスイング後、肘の内側がズキズキ痛む」
「物を握ると肘に痛みが走る」
「湿布を貼っても、なかなか良くならない」

このような症状でお悩みの方は、ゴルフ肘(内側上顆炎)かもしれません。ゴルフ肘は、スポーツ愛好家だけでなく、日常生活での繰り返し動作でも発症する厄介な疾患です。

従来の治療法では改善しない難治性のゴルフ肘に対して、CELL GRAND CLINICでは最先端の自己脂肪由来幹細胞治療を提供しています。本記事では、ゴルフ肘の基本的な知識から、革新的な再生医療による治療法まで、分かりやすく解説します。

ゴルフ肘とは?原因と症状を理解しよう

ゴルフ肘の正体:腱の慢性的な損傷

ゴルフ肘(内側上顆炎)は、肘の内側にある腱が繰り返しの負荷により損傷を受ける疾患です。医学的には「慢性変性性腱障害」と呼ばれ、腱の微小な断裂が蓄積していく状態です。

これを分かりやすく例えると、使い古したロープがほつれていくようなイメージです。
最初は小さなほつれでも、使い続けることで徐々に損傷が広がり、最終的には断裂のリスクも生じます。

発症しやすい人の特徴

スポーツをする人

  • ゴルフ(特に初心者の無理なスイング)
  • 野球(投球動作)
  • テニス(フォアハンドストローク)

日常生活での発症

  • 重い物を繰り返し持ち上げる作業
  • パソコン作業(マウスの長時間使用)
  • 家事(雑巾絞りなどの動作)

主な症状と診断方法

典型的な症状

  1. 肘内側の痛み(押すと痛みが強くなる)
  2. 握力の低下
  3. 手首を曲げる動作での痛み
  4. 前腕を内側にひねる動作での痛み

診断方法

 身体診察:抵抗下手関節屈曲テスト
 超音波検査:腱の肥厚や断裂の確
 MRI検査:詳細な組織評価

従来の治療法とその限界

1. 保存療法(基本的な治療)

初期治療
  • 安静とアイシング
  • 消炎鎮痛剤(NSAIDs)の使用
  • サポーターやテーピングによる保護
リハビリテーション
  • ストレッチング
  • エキセントリック運動
  • 超音波治療

しかし、これらの治療で1年以上など症状が長引くケースが報告されています。

2. ステロイド注射の問題点

ステロイド注射は即効性がありますが、以下の問題があります:

  • 効果が一時的(数週間〜数ヶ月)
  • 繰り返し注射すると腱が弱くなる
  • 再発率が高い

3. 手術療法

保存療法を6ヶ月続けても改善しない場合に検討されますが:

  • 入院が必要
  • リハビリ期間が長い(数ヶ月)
  • 感染や神経障害のリスク

再生医療による革新的アプローチ
PRP療法:第一世代の再生医療

PRP(多血小板血漿)療法は、患者さん自身の血液から血小板を濃縮して患部に注射する治療法です。

PRPの効果

  • 成長因子による組織修復促進
  • 長期的な痛みの改善(6ヶ月後の効果はステロイドより優れる)
  • 副作用が少ない

研究によると、ゴルフ肘と同様のテニス肘で24週後の治療成績は、ステロイド注射よりPRP注射の方が有意に優れていました。

幹細胞治療:次世代の再生医療
自己脂肪由来幹細胞治療(ADSC)の革新性

幹細胞が持つ3つの治癒メカニズム

CELL GRAND CLINICが提供する自己脂肪由来幹細胞治療は、以下の3つの作用で腱の修復を促します。

1. パラクライン効果(薬局のような働き)

幹細胞は「小さな薬局」として機能し、様々な成長因子やサイトカインを分泌します:

  • VEGF(血管内皮増殖因子):新しい血管を作る
  • bFGF(線維芽細胞増殖因子):コラーゲン産生を促進
  • TGF-β:組織の再生を調整

2. 免疫調整作用(炎症のブレーキ)

  • 過剰な炎症反応を抑制
  • 慢性炎症による組織ダメージを軽減
  • 治癒に適した環境を整える

3. 組織への分化(修復材となる)

  • 幹細胞自体が腱細胞に分化
  • 損傷部位の「穴埋め」効果
  • 新しい健康な組織の形成

治療の実際の流れ

  1. 脂肪採取(約30分)
     腹部などから少量の脂肪を採取
     局所麻酔で行うため痛みは最小限
  2. 幹細胞の分離・培養(6-7週間)
     専門施設で幹細胞を分離
     個別にオーダーメイドで培養して細胞数を増やす
  3. 幹細胞注射(約30分または60~90分)
     全身に点滴または局部注射
     外来で実施可能

治療の比較

ステロイド注射=今すぐ痛みを抑える(対症療法)
PRP療法=原因にアプローチして中期的に効く(原因療法)
幹細胞治療=組織を再生して長く効く(根本的再生療法)

治療のポイント

体感まで:ステロイド=数日
     幹細胞=約1ヶ月〜
     PRP=約1ヶ月

持続:幹細胞=1年以上 > PRP=3〜6ヶ月 > ステロイド=数週〜数ヶ月

組織修復:幹細胞=強い/PRP=あり/ステロイド=なし

副作用:ステロイド=腱の弱化に注意/PRP・幹細胞=ほぼなし

費用目安:ステロイド=保険適用/PRP=自費 約10万円/幹細胞=自費 100〜300万円

選び方の目安

即効性&費用を優先 → ステロイド注射
安全性と持続のバランス → PRP療法
再発予防まで見据えた根本改善 → 幹細胞治療

幹細胞治療の経過

炎症抑制期(第1段階)|1〜2週:炎症・痛み物質・腫れが減少 → 痛みが和らぎ始める

修復開始期(第2段階)|2週〜1ヶ月:成長因子分泌・新生血管・コラーゲン産生 → 動作時の痛みが減る

組織再生期(第3段階)|1〜3ヶ月:腱の再構築・強度向上 → 日常生活が楽になる

成熟期(第4段階)|3〜6ヶ月:組織成熟・機能回復・再発予防 → スポーツ復帰が可能

※効果の感じ方や進み方には個人差があります

最新の臨床研究が示すエビデンス

海外での臨床成績

韓国での研究(2015年)

  • 慢性テニス肘患者12例に脂肪幹細胞を注射
  • 6ヶ月後、全例で痛みと機能が改善
  • 超音波検査で腱の構造的修復を確認

スペインでの研究(2021年)

  • 自己脂肪由来幹細胞を10例に投与
  • 1年間の追跡で持続的な改善
  • MRIで腱の再生を確認

イタリアでのランダム化比較試験

  • アキレス腱症での研究
  • 幹細胞治療群が対照群より有意に改善
  • 安全性も確認

動物実験からの知見

ラットやウサギを用いた基礎研究では:

  • 腱の引っ張り強度が向上
  • コラーゲン構造の正常化
  • 炎症マーカーの減少

これらの結果は、ヒトでの効果を裏付ける科学的根拠となっています。

よくある質問(Q&A)

Q1. 幹細胞治療で本当に腱は再生しますか?
A. 複数の臨床研究で、MRIや超音波検査により腱組織の再生が確認されています。ただし、効果には個人差があり、全員が完全に再生するわけではありません。

Q2. 治療の痛みはどの程度ですか?
A. 脂肪採取時は局所麻酔を使用するため、軽い違和感程度です。幹細胞注射も通常の注射と同程度の痛みです。

Q3. 効果はどのくらい続きますか?
A. 現在の報告では1年以上効果が持続した例があります。ただし、長期データはまだ蓄積中です。

Q4. 保険は適用されますか?
A. 現在は自由診療のため保険適用外です。費用については個別にご相談ください。

Q5. どんな人に効果的ですか?
A. 保存療法で改善しない慢性例、手術を避けたい方、スポーツへの早期復帰を希望する方に特に適しています。

Q6. 副作用はありませんか?
A. 自己脂肪を使用するため拒絶反応はほぼありません。一時的な腫れや軽い痛みが生じることがありますが、数日で改善します。

Q7. スポーツはいつから再開できますか?
A. 個人差がありますが、通常3-6ヶ月で段階的に復帰可能です。リハビリ計画に従って進めることが重要です。

Q8. 他の治療と併用できますか?
A. PRPとの併用で相乗効果が期待できます。詳細は医師にご相談ください。

CELL GRAND CLINICでの治療の特徴

当院の強み

  1. 豊富な実績
     幹細胞治療の専門医が在籍
     多数の症例経験
  2. 安全性の確保
     厚生労働省認可施設
     徹底した品質管理
  3. 包括的なサポート
     治療前の詳細な評価
     長期的なフォローアップ

治療適応の判断

以下の方は特に幹細胞治療の良い適応となります:

  • 3ヶ月以上の保存療法で改善しない
  • ステロイド注射の効果が一時的
  • 手術を避けたい
  • スポーツや仕事への早期復帰を希望
  • 根本的な治癒を求める

まとめ:新しい希望となる再生医療

ゴルフ肘は、従来「治りにくい」「再発しやすい」疾患として知られていました。しかし、自己脂肪由来幹細胞治療という革新的な再生医療により、腱そのものを修復・再生させる可能性が開かれました。

この治療は、痛みを抑えるだけでなく、損傷した組織を根本から改善することを目指します。まさに「自分の細胞で自分を治す」という、体に優しく効果的な治療法です。
CELL GRAND CLINICでは、最新の知見と豊富な経験を基に、患者さん一人ひとりに最適な治療計画を提案しています。慢性的な肘の痛みでお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。

再生医療の進歩により、「諦めていた痛み」から解放される日が来るかもしれません。 あなたの「痛みのない生活」への第一歩を、私たちがサポートいたします。

参考文献
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3. Khoury M, Raya A, et al. Promising improvement of chronic lateral elbow tendinopathy by using adipose-derived mesenchymal stromal cells: a pilot study. J Exp Orthop. 2021;8(1):6.
4. Usuelli FG, Grassi M, et al. Intratendinous injection of adipose-derived stromal vascular fraction in Achilles tendinopathy: a randomized controlled trial. Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc. 2018;26(7):2000-2010.
5. Cho WS, Chung SG, et al. Mesenchymal Stem Cells Use in the Treatment of Tendon Disorders: A Systematic Review and Meta-Analysis of Prospective Clinical Studies. Ann Rehabil Med. 2021;45(4):274-283.

                           

執筆者

若林雄一

若林 雄一

セルグランクリニック 院長

医学博士
アメリカ再生医療学会専門医
放射線診断専門医
核医学専門医

【略歴】                                        
アメリカ再生医療学会認定専門医資格を有し、神戸大学病院やアメリカ国立衛生研究所(NIH)で培った経験を基に、患者様一人ひとりのニーズに応じたオーダーメイド医療を提供しています。

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