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COLUMN

2025.03.27
コラム

最新のアンチエイジング医療:幹細胞治療の仕組みと効果①

アンチエイジングとは何か?その重要性

年齢を重ねると、肌のしわやたるみ、体力の低下、病気のリスク上昇など、さまざまな老化現象が現れます。
アンチエイジングとは、こうした老化の進行を遅らせたり予防したりする取り組みのことです。単に見た目を若々しく保つだけでなく、健康寿命(健康に自立して過ごせる期間)を延ばし、日々をいきいきと過ごすことを目指します。老化に関しては、近年考え方も変わってきています。日本抗加齢医学会は、老化「加齢に伴って避けがたい正常な範囲内での老化」「病的な老化」2つに分けて捉えています。
このうち、病的な老化は検査で発見し、予防や治療が可能であるとし、健康寿命の延伸を目指すことが重要であるとしています。

一方、**国際疾病分類(ICD**において、老化は以下のように分類されています。
ICD-10コードR54で「老衰(Senility)」として分類されています。
ICD-112022年から採用されたICD-11では、新たな拡張コードXT9Tが追加され、「加齢関連(age-related)」を示すものとして定義されています。また、コードMG2Aは「老年期(old age)」を意味し、加齢に伴う固有能力の低下を指すものとして分類されています。

これらの分類は、老化を疾患として捉える視点を反映しており、エイジングケアの重要性を示しています。
老化を抑えることは美容の面だけでなく、生活習慣病や認知症など年齢関連疾患の予防にもつながります。例えば動脈硬化や糖尿病といった病気は、加齢とともに進行する体内の慢性的な炎症や細胞のダメージが一因です。見た目の若返りだけでなく将来的な健康リスクを減らし、心身ともに元気な毎日を送る助けになるのです。

幹細胞治療による若返りが注目される理由

エイジングケアには、食事・運動・サプリメントなど様々ありますが、近年とくに注目されている先端医療が幹細胞治療によるエイジングケアです。幹細胞とは、体の中で様々な細胞に分化したり傷ついた組織を修復したりできる「もとになる細胞」です。私たちの体にもともと存在する幹細胞は、若いころは活発に働いてケガを治したり新陳代謝を保ったりしていますが、加齢に伴い数や働きが減少していきます。このため年をとると傷の治りが遅くなったり、肌や臓器の再生力が衰えてしまいます。

幹細胞治療で細胞を増幅

そこで、体の外から新たな幹細胞やその働きを補う物質を補給してあげれば、老化現象を抑制できるのではないかと考えられています 。実際、幹細胞を活用した再生医療は様々な疾患で研究が進み、一部は実用化されていますが、近年では全身の老化を標的に応用する試みも盛んです。従来の美容医療(ヒアルロン酸やボトックス注射、レーザー治療など)が主に局所的・一時的な若返りを目指すのに対し、幹細胞治療は細胞レベルで全身の機能を回復させることで根本的なエイジングケアを期待できる点が画期的です。

幹細胞療法とは?

幹細胞治療にも色々な方法がありますが、なかでも全身へアプローチできるのが幹細胞点滴療法(幹細胞の点滴による投与)です。点滴療法では、培養した幹細胞やその培養上清液(※幹細胞を培養した液体中に幹細胞から分泌された有効成分が含まれるもの)を、静脈から点滴で体内に戻します。点滴によって有効成分が血液に乗って全身を巡り、各組織に届けられるため、身体全体の若返り効果が期待できます。

当クリニックでも複数の種類の幹細胞治療を提供しています。自己脂肪由来幹細胞は、ご自身の脂肪組織(お腹など)から採取した幹細胞を培養して点滴する方法です。自分自身の細胞を使うため拒絶反応の心配が少ないメリットがあります。この治療は再生医療安全確保法という法律で厚生省への届け出が必要で厳格に取り締まりがされています。
また、最近は幹細胞そのものではなく、幹細胞を培養したときにできる幹細胞上清液(成長因子などのサイトカインやエクソソームなど幹細胞の分泌成分が豊富な液体)だけを点滴する方法も注目されています。
幹細胞上清液には細胞本体は含まれませんが、幹細胞が出す成長因子などのサイトカインやエクソソームなど幹細胞の分泌成分を利用できるため、安全性が高く効率的な治療として期待されています。
こちらの治療では、細胞本体は含まれませんので使用する幹細胞がご自身の脂肪に限定されず、他人から提供された乳歯歯髄由来(乳歯を抜去した歯の神経部分から採取)や臍帯由来(赤ちゃんのへその緒から採取)の幹細胞を用いることも可能です。まさに細胞というナマモノを使うので料理に例えるとイメージがわきやすいかとおもうので、下の図を見ていただくとわかりやすかもしれません。

次回コラムで、幹細胞点滴療法によって具体的にどのような効果が得られるのか、次にそのメカニズム(作用の仕組み)をわかりやすく解説します。