「なかなか痩せられない」「食事制限がつらい」——そんな悩みを抱える方に、今注目されているのがマンジャロとゼップバウンドという2つの注射薬です。
2025年4月、日本でついにゼップバウンドが肥満症治療薬として発売されました。これにより、保険診療で使える肥満治療の選択肢が広がり、多くの方が医学的なダイエット治療を受けられるようになりました。
本コラムでは、再生医療・アンチエイジング医療を専門とするCELL GRAND CLINICの医師監修のもと、マンジャロとゼップバウンドの効果・副作用・選び方を最新エビデンスに基づき、分かりやすく解説します。肥満は糖尿病や動脈硬化など様々な疾患のリスク因子であり、適切な体重管理は健康長寿の第一歩です。
目次
- マンジャロとゼップバウンドとは?基本情報
- 作用機序:GIP/GLP-1デュアル作用で食欲を抑制
- 臨床効果の比較:どれくらい痩せる?血糖値は?
- 副作用と安全性:知っておくべきリスク
- どちらを選ぶべき?糖尿病の有無で判断
- 肥満は万病のもと:再生医療による多角的アプローチ
- まとめと今後の展望
1. マンジャロとゼップバウンドとは?基本情報
マンジャロ(一般名:チルゼパチド)とゼップバウンドは、同じ有効成分「チルゼパチド」を含む週1回の皮下注射薬です。イーライリリー社が開発し、GIPとGLP-1という2つのホルモン受容体に同時に作用する世界初の「デュアル受容体作動薬」として注目を集めています。
日本での承認状況(2025年最新)
- マンジャロ:2023年4月発売。2型糖尿病治療薬として保険適用。
- ゼップバウンド:2024年12月承認、2025年4月11日発売。肥満症治療薬として保険適用。
簡潔にまとめると、「マンジャロ=糖尿病治療が主目的」「ゼップバウンド=肥満症治療が主目的」という違いがあります。ただし、有効成分は同じチルゼパチドなので、作用機序や副作用は共通しています。
2. 作用機序:GIP/GLP-1デュアル作用で食欲を抑制
チルゼパチドの革新的な点は、GIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)とGLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)という2種類のインクレチンホルモン受容体を同時に刺激することです。
二重作用のメカニズム
- GLP-1作用:脳の満腹中枢を刺激し、食欲を強力に抑制。胃の排出を遅らせ、少量で満腹感が得られます。
- GIP作用:膵臓からのインスリン分泌を促進し、血糖値を効率的に下げます。脂肪組織でのエネルギー代謝も促進。
この「ダブルの作用」により、従来のGLP-1単独製剤(オゼンピック等)よりも高い減量効果と血糖改善効果が期待できます。週1回の注射で効果が持続するため、毎日の服薬が難しい方にも適しています。
3. 臨床効果の比較:どれくらい痩せる?血糖値は?
体重減少効果
大規模臨床試験のデータをもとに、それぞれの減量効果を比較します。
| 項目 | ゼップバウンド(非糖尿病) | マンジャロ(糖尿病) |
| 平均体重減少率 | 約20.9% | 約14.7% |
| 100kgの場合 | 約79kg(-21kg) | 約85kg(-15kg) |
| 5%以上減量達成率 | 約91% | 約85% |
| 試験名 | SURMOUNT-1(72週) | SURMOUNT-2(72週) |
ゼップバウンド(非糖尿病の肥満患者対象)では平均約21%もの体重減少を達成。100kgの方なら約21kgの減量が期待できます。一方、マンジャロ(糖尿病患者対象)でも約15%の減量効果があり、これは従来の肥満治療薬と比較して画期的な数値です。
血糖値改善効果(HbA1c)
マンジャロは糖尿病治療薬として開発されており、血糖コントロール効果も非常に優れています。SURPASS試験シリーズでは、HbA1cが平均2.0〜2.5%低下し、投与患者の約90%以上がHbA1c 7%未満の目標を達成しました。
さらに注目すべきは糖尿病予防効果です。SURMOUNT-1試験では、境界型糖尿病(プレ糖尿病)の参加者における新規糖尿病発症率が、チルゼパチド群でわずか0.5%未満だったのに対し、プラセボ群では13%と、大きな差が認められました。
4. 副作用と安全性:知っておくべきリスク
強力な効果を持つ薬だからこそ、副作用についても正しく理解しておくことが重要です。マンジャロとゼップバウンドは同じ成分なので、基本的に副作用プロファイルは共通しています。
主な副作用
- 消化器症状(最も頻度が高い):悪心(吐き気)約20〜30%、下痢約15〜20%、便秘、腹部不快感など。投与開始初期や増量時に出やすいが、多くは一過性で数日〜1週間で軽減。
- 注射部位反応:発赤、腫れ、かゆみなど。5〜10%程度。注射部位のローテーションで予防可能。
- 一過性の脱毛:急激な減量による休止期脱毛症。体重が安定すれば改善。
- 低血糖(まれ):単独使用では重篤な低血糖はほとんど報告されていませんが、インスリンやSU剤との併用時は注意が必要。
重要な禁忌・注意事項
- 甲状腺髄様癌の既往・家族歴がある方:動物実験で甲状腺C細胞腫瘍のリスクが報告されており、禁忌とされています。
- 多発性内分泌腫瘍症候群2型(MEN2)の方:禁忌です。
- 膵炎の既往がある方:慎重投与が必要です。
- 妊婦・授乳婦:禁忌です。妊娠を希望する場合は、投与中止後2ヶ月以上経過してから妊活を開始してください。
5. どちらを選ぶべき?糖尿病の有無で判断
マンジャロとゼップバウンドは同じ成分ですが、保険適用される疾患が異なります。最適な選択は患者さんの状況によって変わります。
| マンジャロがおすすめ | ゼップバウンドがおすすめ |
|
● 2型糖尿病と診断されている ● 血糖コントロールも改善したい ● 糖尿病治療として保険適用を受けたい |
● 糖尿病がない肥満症 ● BMI 27以上で合併症あり、または BMI 35以上 ● 純粋に減量効果を最大化したい |
重要:ゼップバウンドの保険適用には厳格な条件があります。6ヶ月以上の食事・運動療法を実施しても効果不十分であること、管理栄養士による栄養指導を2ヶ月に1回以上受けていることなどが求められます。また、処方できる医療機関も専門施設に限られています。
6. 肥満は万病のもと:再生医療による多角的アプローチ
「肥満は万病のもと」という言葉があるように、肥満は単なる見た目の問題ではなく、糖尿病、動脈硬化、フレイル(虚弱)をはじめとする様々な疾患のリスク因子となります。
肥満が引き起こす健康リスク
- 糖尿病:肥満によりインスリン抵抗性が高まり、2型糖尿病の発症リスクが大幅に上昇します。
- 動脈硬化:脂質異常症や高血圧を併発しやすく、心筋梗塞・脳卒中など重大な心血管イベントのリスクが高まります。
- フレイル(虚弱):過度な体重は膝関節への負担を増やし、運動機能の低下を招きます。サルコペニア肥満は特に要介護リスクを高めます。
- 慢性炎症:肥満状態では全身に慢性的な炎症が起こり、老化を加速させ、様々な臓器に悪影響を及ぼします。
CELL GRAND CLINICの多角的治療体制
当クリニックは、厚生労働省から第二種・第三種再生医療等提供計画の認可を受けた再生医療総合クリニックです。肥満に関連する様々な疾患に対して、以下の治療ライセンスを取得しています。
| 対象疾患 | 再生医療等提供計画 |
| 糖尿病・境界型糖尿病 | 自己脂肪由来幹細胞治療(第二種) |
| 動脈硬化症 | 自己脂肪由来幹細胞治療(第二種) |
| フレイル・プレフレイル | 自己脂肪由来幹細胞治療(第二種) |
| 慢性疼痛・変形性関節症 | 自己脂肪由来幹細胞治療・PRP治療 |
これらのライセンスにより、肥満改善から糖尿病・動脈硬化・フレイルまでを一貫して治療することが可能です。単に体重を落とすだけでなく、肥満によって引き起こされた身体のダメージを幹細胞治療やエクソソーム療法によって根本から修復し、健康寿命の延伸をサポートします。
人生100年時代を「太く、長く、若々しく」過ごすためには、肥満対策とその合併症への多角的なアプローチが不可欠です。当クリニックでは、再生医療の専門医が個々の状態に合わせたオーダーメイド治療をご提案いたします。
7. まとめと今後の展望
マンジャロとゼップバウンドは、同じチルゼパチドを有効成分とするGIP/GLP-1デュアル受容体作動薬です。
- ゼップバウンド:糖尿病のない肥満症に適応。平均約21%の体重減少が期待できる最強の減量薬。
- マンジャロ:2型糖尿病に適応。血糖改善と約15%の減量を同時に達成。
- 共通の副作用:消化器症状が主だが、多くは一過性。ゆっくり増量することで軽減可能。
今後は、GIP/GLP-1/グルカゴン受容体を同時に刺激するトリプルアゴニストの開発も進んでおり、さらに高い減量効果が期待されています。肥満治療は日々進化しており、医師と相談しながら最適な治療を選択することが大切です。
CELL GRAND CLINICでは、メディカルダイエットに加え、糖尿病・動脈硬化・フレイルに対する幹細胞治療やエクソソーム療法など、多角的な再生医療を提供しています。肥満は様々な疾患の入り口です。体重管理から合併症治療まで、一貫した健康サポートをお求めの方はお気軽にご相談ください。
参考文献
- Jastreboff AM, Aronne LJ, Ahmad NN, et al. Tirzepatide Once Weekly for the Treatment of Obesity. N Engl J Med. 2022;387(3):205-216. doi:10.1056/NEJMoa2206038
- Garvey WT, Frias JP, Jastreboff AM, et al. Tirzepatide once weekly for the treatment of obesity in people with type 2 diabetes (SURMOUNT-2). Lancet. 2023;402(10402):613-626. doi:10.1016/S0140-6736(23)01200-X
- Frías JP, Davies MJ, Rosenstock J, et al. Tirzepatide versus Semaglutide Once Weekly in Patients with Type 2 Diabetes. N Engl J Med. 2021;385(6):503-515. doi:10.1056/NEJMoa2107519
- S. Food and Drug Administration. FDA Approves New Medication for Chronic Weight Management. FDA News Release. November 8, 2023.
- 田辺三菱製薬株式会社. 持続性GIP/GLP-1受容体作動薬「ゼップバウンド®」薬価基準収載ならびに発売日のお知らせ. 2025年3月19日.
- 厚生労働省. 最適使用推進ガイドライン チルゼパチド(販売名:ゼップバウンド皮下注). 2025年3月.
- Hansen TD, et al. The Body Weight Reducing Effects of Tirzepatide in People with and without Type 2 Diabetes: A Review on Efficacy and Adverse Effects. Diabetes Ther. 2024;15(7):1929-1952. doi:10.1007/s13300-023-01433-8
- American Diabetes Association. Latest Data From SURPASS Trials Demonstrate Tirzepatide Provided Meaningful Blood Sugar Reductions. ADA Newsroom. 2021.