幹細胞治療を検討する前に知っておくべきこと
「膝の痛みが何年も続いている」「糖尿病の数値が改善しない」「従来の治療では限界を感じている」・・・そんな悩みを抱えている方にとって、幹細胞治療は新たな希望となる可能性があります。
しかし、再生医療という分野は急速に発展しており、クリニックや病院によって治療内容や品質に大きな差があるのが現状です。
実際、幹細胞治療を提供する医療機関は全国に数多く存在しますが、すべてが同じレベルの技術や安全性を備えているわけではありません。
適切な病院を選ばなければ、期待した効果が得られないばかりか、安全面でのリスクも生じる可能性があります。
本記事では、幹細胞治療を受ける際に失敗しないための病院選びのポイントを、専門医の視点から詳しく解説します。
幹細胞治療とは何か?基礎知識を押さえる
幹細胞治療は、患者さん自身の体から採取した幹細胞を培養し、損傷した組織や臓器に投与することで、体の修復機能を高める治療法です。
従来の治療では「症状を抑える」ことが中心でしたが、幹細胞治療は「細胞レベルで修復・再生する」という根本的なアプローチを目指します。
幹細胞治療が適用される主な疾患
幹細胞治療は、変形性膝関節症や慢性疼痛といった整形外科領域から、糖尿病や動脈硬化などの内科的疾患、さらには美容・アンチエイジング分野まで幅広く応用されています。
特に注目されているのは、従来の治療では改善が難しかった症状に対する効果です。
例えば、変形性膝関節症では軟骨の再生を促し、糖尿病では膵臓のβ細胞の機能回復を助けるといった作用が期待されています。
幹細胞の種類と特徴
幹細胞治療に用いられる細胞には、主に「自己脂肪由来幹細胞」と「骨髄由来幹細胞」があります。
自己脂肪由来幹細胞は、腹部や太ももから採取した脂肪組織から抽出されます。
採取が比較的容易で、1gあたりに含まれる幹細胞の数が多く、増殖スピードも速いという利点があります。
一方、骨髄由来幹細胞は骨盤などから採取する骨髄液に含まれ、免疫調整作用や線維化抑制作用に優れています。
どちらも患者さん自身の細胞を使う「自家移植」であれば、拒絶反応が起こりにくく、安全性が高いとされています。
病院選びで最も重要な5つの確認ポイント
幹細胞治療を受ける病院を選ぶ際、確認すべきポイントは複数ありますが、特に重要なのは以下の5つです。

1. 厚生労働省への届出と認可の有無
再生医療を提供する医療機関は、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」に基づき、厚生労働省に治療計画を届け出る必要があります。
この届出がない施設での治療は、法的に問題があるだけでなく、安全性や品質管理の面でも不安が残ります。
具体的には、「第二種再生医療等提供計画」や「第三種再生医療等提供計画」として認可を受けているかを確認しましょう。
認可を受けた施設は、厚生労働省認定の特定認定再生医療等委員会による審査を経て、適合性が認められています。
これは、治療の安全性と品質が一定の基準を満たしていることの証明となります。
2. 専門医の在籍と実績
幹細胞治療は高度な技術と知識を必要とする医療行為です。
治療を担当する医師が、再生医療の専門的な資格や豊富な臨床経験を持っているかは極めて重要です。
また、これまでに何例の幹細胞治療を実施してきたか、その治療成績はどうかといった実績も重要な判断材料となります。
3. 細胞培養施設の品質と管理体制
幹細胞治療の効果は、投与する細胞の「量」と「質」に大きく左右されます。
細胞の培養は、厚生労働省認可の専門施設で行われる必要がありますが、施設によって培養技術や品質管理のレベルには差があります。
まず確認すべきは、培養できる幹細胞の数です。
国内平均では約1千万個とされていますが、当院が技術提携するような高度な培養技術を持つ施設では2億個まで培養することが可能です。
細胞数が多いほど、損傷した組織への修復効果が高まる傾向があります。
次に重要なのが、細胞の「生存率」です。
幹細胞治療でいう「生存率」とは、投与直前の細胞のうち、どれだけが“生きた状態”で機能できるかを示す指標(%)です。生存率が低いと、期待する働きが出にくくなる可能性があるため、培養や輸送、保管、解凍まで含めた一連の工程での品質管理が重要になります。
なお、細胞の冷蔵(短期間)や冷凍(凍結保存)は、条件によって生存率に影響し得るため、しばしば議論の対象になります。一方で、この点を強調しすぎた過度な宣伝が見受けられるのも事実です。
重要なのは「冷蔵か冷凍か」という保存形態そのものではなく、製造から投与までの一連の工程が適切に設計・管理されているかです。当院では、凍結保護剤の選定、温度管理、解凍手順の標準化、そして投与前に生存率を確認する品質管理(QC)を徹底しており、冷蔵・冷凍いずれであっても高い生存率を維持することが可能です。
4. 治療内容と投与方法の適切性
幹細胞治療には、静脈点滴による全身投与と、患部への局所注入という2つの主な投与方法があります。
症状や疾患の種類に応じて、最適な投与方法を選択できる施設を選ぶことが大切です。
例えば、変形性膝関節症であれば膝関節への局所投与が効果的ですし、糖尿病や動脈硬化といった全身性の疾患では静脈点滴が適しています。
また、幹細胞だけでなく、幹細胞培養上清液(エクソソーム)やPRP治療といった複数の治療法を組み合わせることで、相乗効果が期待できる場合もあります。
患者さん一人ひとりの症状に合わせた最適な治療プランを提案できる施設かどうかを確認しましょう。
5. 料金の透明性とアフターケア体制
幹細胞治療は自由診療であり、治療費は施設によって大きく異なります。
事前に料金体系を明確に説明してくれる施設を選ぶことが重要です。
また、幹細胞治療は投与して終わりではなく、その後の経過を丁寧に追うことで、治療効果を最大限に引き出すことができます。
治療後のフォローアップがしっかりしている施設は、患者さんの長期的な健康を真剣に考えている証拠といえます。
幹細胞治療を受けるなら確認すべきこと
再生医療を提供する施設は複数存在しますが、選択肢が多いからこそ、慎重な選定が必要です。
専門性の高い施設を選ぶ重要性
再生医療を受ける際は、膝関節治療、美容分野、内科的治療など、自分が受けたい治療に特化した専門性の高い施設を選ぶことが大切です。
専門医が在籍している病院では、成功率が高く、安心して治療を受けられる傾向があります。
また、最新の医療設備を備え、研究と実践を融合させた治療を提供している施設であれば、より高い治療効果が期待できます。
アクセスの良さと通院の利便性
幹細胞治療は、初回の脂肪採取から細胞培養、投与、そして治療後の経過観察まで、複数回の通院が必要となります。
そのため、自宅や職場からアクセスしやすい立地にある施設を選ぶことも重要なポイントです。
患者対応と相談体制の充実度
初めて幹細胞治療を受ける方にとって、不安や疑問は尽きないものです。
丁寧なカウンセリングを行い、患者さんの疑問に真摯に答えてくれる施設を選びましょう。
また、治療前の検査から治療計画の立案、治療後のフォローアップまで、一貫して対応してくれる体制が整っているかも重要です。
患者さん一人ひとりに寄り添い、最適な治療を提案してくれる施設であれば、安心して治療を受けることができます。
失敗しない病院選びのための具体的なステップ
ここからは、実際に病院を選ぶ際の具体的なステップをご紹介します。
ステップ1:情報収集と候補施設のリストアップ
まずは、インターネットや医療情報サイトを活用して、幹細胞治療を提供している施設の情報を収集しましょう。
厚生労働省のホームページでは、再生医療等提供計画を届け出ている施設の一覧を確認することができます。
また、各施設の公式サイトで、治療内容、医師の経歴、実績、料金などの情報をチェックします。
ステップ2:初回カウンセリングの予約と受診
実際に初回カウンセリングを予約して受診しましょう。
カウンセリングでは、自分の症状や治療への期待を率直に伝え、医師の説明をしっかりと聞きましょう。
この際、以下のような質問をすることで、施設の質を見極めることができます。
- この治療で期待できる効果と、効果が現れるまでの期間は?
- 培養する幹細胞の数と、細胞の生存率は?
- 投与方法は何が最適で、その理由は?
- 治療後のフォローアップ体制はどうなっているか?
- 考えられるリスクや副作用は?
- 総額でいくらかかるのか、追加費用は発生するか?
ステップ3:最終決定と治療開始
すべての情報を総合的に検討し、最も信頼できると感じた施設を選びましょう。
治療を開始する前に、治療計画や料金、リスクなどについて再度確認し、納得した上で契約を結ぶことが大切です。
不明な点や不安があれば、遠慮せずに質問し、すべてクリアにしてから治療を始めましょう。
幹細胞治療を受ける際の注意点とリスク
すべての患者に適用されるわけではない
幹細胞治療は、特定の条件を満たした患者さんにのみ適用される場合があります。
年齢や症状の進行度、基礎疾患の有無などによっては、治療が適さないケースもあります。
自分が治療の対象となるかどうか、専門医による診断を受けることが重要です。
効果には個人差がある
幹細胞治療の効果は、患者さんの年齢や症状、生活習慣などによって異なります。
すべての方に同じような効果が現れるわけではないことを理解しておきましょう。
期待を持つことは大切ですが、過度な期待を抱かずに現実的な目標を設定することが必要です。
自由診療の費用負担
幹細胞治療は保険適用外の自由診療であるため、費用が高額になる可能性があります。
事前に治療費用を確認し、費用対効果を考慮して判断しましょう。
また、医療費控除の対象となる場合もあるため、税務面での相談も検討すると良いでしょう。
起こりうる副作用とリスク
自己脂肪由来幹細胞を使用する場合、拒絶反応の報告はほとんどありません。
しかし、脂肪採取部位の軽度の内出血や疼痛、点滴投与時の血管痛といった副作用が起こることがあります。
これらは一般的に一時的なもので、数日から1週間程度で改善することが多いとされています。
重篤な副作用の報告は稀ですが、無菌管理や適切な細胞選別・培養が行われる施設を選ぶことが重要です。

よくある質問と回答
Q1. 幹細胞治療の効果はどのくらい持続しますか?
個人差はありますが、多くの方で1年以上効果が持続しています。必要に応じて追加投与も可能です。
Q2. 治療後も生活制限はありますか?
脂肪採取後は数日間、激しい運動を控える必要がありますが、日常生活への支障はほとんどありません。幹細胞投与後も、基本的な生活管理は推奨されますが、極端な制限はありません。
Q3. 高齢でも治療を受けられますか?
全身状態が安定していれば高齢者でも実施可能です。加齢で低下した再生力を補う目的で選択されることも増えています。ただし、癌の既往がある方や抗凝固療法中などは個別評価が必要です。
Q4. 治療回数の目安は?
初期は1〜2回を基本とし、その後は症状と反応性に応じて維持療法を検討します。医師と相談しながら最適なプランを決めていきます。
Q5. 他の治療法と併用できますか?
可能です。幹細胞治療は「再生環境を整える」治療のため、薬物療法やリハビリテーション、栄養最適化を組み合わせると相乗効果が期待できます。
まとめ:信頼できる施設で安心の幹細胞治療を
幹細胞治療は、従来の治療では改善が難しかった症状に対して、新たな希望をもたらす可能性のある治療法です。
しかし、その効果と安全性は、治療を受ける施設の質に大きく左右されます。
病院選びの際は、厚生労働省への届出の有無、専門医の在籍と実績、細胞培養施設の品質、治療内容の適切性、料金の透明性とアフターケア体制といった5つのポイントを必ず確認しましょう。
また、複数の施設でカウンセリングを受け、比較検討することで、自分に最適な施設を見つけることができます。
幹細胞治療は、単に症状を抑えるのではなく、体の根本から健康を取り戻すことを目指す医療です。
信頼できる施設で、適切な治療を受けることで、より良い人生の質を実現できる可能性があります。
「もう治らない」とあきらめる前に、再生医療という新しい選択肢をぜひ検討してみてください。
大阪・心斎橋の再生医療クリニック「CELL GRAND CLINIC」は、再生医療等安全性確保法に基づき、厚生労働省へ第二種・三種の再生医療等提供計画を届出し、特定認定再生医療等委員会の審査を経たうえで治療を提供する医療機関です(計画番号:PB5240089ほか/PC5250007ほか)。
当院では幹細胞治療を中心に、PRP・エクソソーム(幹細胞培養上清液)・線維芽細胞・NK細胞治療など幅広い再生医療に対応し、症状・既往歴・生活背景をふまえた個別の治療プランをご提案します。幹細胞再生治療では、投与日に合わせた培養と品質管理(生存率・表面抗原の確認等)を重視し、細胞品質の「見える化」に取り組んでいます。
治療の適応、期待できる効果と限界、リスク、費用はカウンセリングで丁寧にご説明します。詳しくはCELL GRAND CLINIC公式サイトをご覧ください。
※本コラムは一般的な医療情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を代替するものではありません。治療の適応や内容は、診察・検査結果等を踏まえて医師が判断します。